WWEネットワークが加入者数を公表

米プロレス団体大手、ワールド・レスリング・エンターテイメント(WWE)はこのほど、今年2月に立ち上げたインターネット配信サービス「WWEネットワーク」の加入者が667,000人超であることを発表した。80万人は堅いのでは、などとする強気の見方があったこともありウォール街では若干の失望感が広がり、同社の株価は一時23%ほど下落した。

 

米調査・投資会社ベンチマーク・カンパニーのアナリスト、マイク・ヒッキー氏は、この悲観的な評価に驚きを隠せない様子。同社の株価が昨年比200%増と行き過ぎた部分もあり、“健康的な修正”の動きではないかと分析している。事実、「3040万人なら事業継続の是非を問われることになる」とされたハードルは完全にクリアしたこともあって、株価は同日夕方にかけ前日比マイナス13%と持ち直した。

ヒッキー氏は、加入者は今年末までに約120万人と順調に増え、15年までには150160万人に達すると見込んでいる。別の調査会社PAAリサーチ社の代表、ブラッドレー・サファロー氏は、向う35年間に加入者は400500万人に達すると予測。WWEでは加入者数100万人を獲得できれば同サービスは黒字転換するとしている。

WWEネットワークは、プロレス界のスーパーボウルとも言われるビッグ・イベント『レッスルマニア』やプロレス・ドキュメンタリーなど様々な番組を編成、WWEが抱える膨大なライブラリーにもアクセスできるオンデマンド・サービスを月額9.99㌦で提供している。当初はWWE独自のケーブル局開設を検討していたが、“インターネット放送局”ならばペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社)との複雑な配信契約を結ぶ必要もないうえ、これまでWWEイベントを放送してきたお得意先(ケーブル局)との競合を避けたいとの意向も働きネット配信サービスに切り替えた。WWEファンの多くを占める若者視聴者が動画視聴を苦にしないネット利用者であることも判断材料になった。

ところで、WWEのイベントは、コムキャストのメディア部門NBCユニバーサル(NBCU)傘下のケーブル局USAネットワークやSyFy(サイファイ)チャンネルなどに番組販売されているが、現在、契約更新交渉が暗礁に乗り上げている。ルイジアナ州ニューオーリンズのスーパードームで46日開催された『レッスルマニア』には75,167人のファンが詰めかけるほどの人気でWWE側がNBCUとの交渉で強気の姿勢を崩していない模様だ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>