米広告費、10年ぶりの増加率

米国の広告費が2004年以来最大の増加率を記録しそうだ。米調査会社eMarketer(イーマーケッター)がこのほど発表した予測によると、2014年の米広告費は前年比5.3%増となる18012000万㌦に達する見込み。前年に比べ5%を超えるのは10年ぶりのことだという。これまでに5%を超えたのは2004年で、このときの上昇率は6.7%だった。けん引役となるのがデジタル広告の中でも成長著しいモバイル広告とテレビ広告。

テレビ広告は前年比3.3%に留まる約690億㌦。総広告費に占める割合は38.1%となり、引き続き広告媒体ナンバーワンの座は揺るぎない。同社の予測では、1日あたりのテレビ視聴時間は4時間28分と全媒体中群を抜いている。

ただ、パソコン(デスクトップ型及びノートパソコンを含む)とモバイル・ディバイス向けを合わせたデジタル広告全体でみると、テレビ広告との距離はじわじわと縮まっていくと見ている。今年のデジタル広告費が全体に占める割合は三分の一に迫る28.2%。はじめて500億㌦の大台に乗るという。

なお、同社では、デジタル広告が18年には全体の37.3%と、テレビ広告(35.7%)を追い抜くと予想している。中でもモバイル広告がその70%を占める勢いで急増する模様だ。

ところで、同社ではモバイル広告の大幅増加の要因として、モバイル・ディバイスの利用時間が急上昇していることを挙げている。13年における成人のモバイル・ディバイス利用時間は一日当たり2時間19分とパソコン利用時間とほぼ同じだが、今年はパソコンが2時間19分と減少する一方でモバイル・ディバイスは2時間51分と大幅に増える見込みだ。広告主がモバイル広告に熱い視線を送っている所以だ。同媒体に出稿される広告費は前年度比一挙に83%増となる1773000万㌦になるという。ちなみに、モバイル広告がデジタル広告費に占める割合は9.8%と急拡大している。

一方、新聞と雑誌広告が全体に占める割合はそれぞれ9.3%8.4%、合計17.7%と下降現象に歯止めがかからない状態が続いている。18年には両媒体合わせて14%にまで縮小する見込みだ。ラジオのシェアは8.6%。こちらは緩やかな下降線を描き18年には7.1%に縮小するという。

イーマーケッターでは、米国の総広告費は14年以降も右肩上がりに増え続け、15年は前年比5.1%増となる18938000万㌦、16年は同5.6%2000億㌦、17年は4.8%20969000万㌦、18年は前年比5.2%増となる22055000万㌦に達する見ている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>