エミー賞、CATV局とネットフリックが席巻

米テレビ界最高の栄誉とされるプライムタイム・エミー賞の発表と授賞式が825日にロサンゼルスで開催される。ノミネート状況を見ると、米テレビ界の現状が透けて見えてくるのが印象的だ。決定的なヒット作に欠く地上波テレビネットワーク、人気番組が増えているケーブル局、そして、昨年、大いに話題を集めたインターネット上の番組配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」がオリジナル制作番組提供者として確固たる足場を築いた、という構図だ。

まず、ノミネート数を見ると、昨年より若干数が減ったとはいえ99と他を圧倒したのがタイムワーナー傘下の有料チャンネル「HBO」。2位につけた地上波テレビネットワークCBS(47)の倍以上と他を寄せ付けない強さを見せている。ちなみに、CBSに加え、3位につけたNBC46)、5位のABC37)、10位内を逃したFox18)といずれのネットワークも昨年よりノミネート数が減っているのが特徴だ。

一方、21世紀フォックス傘下の若者向けチャンネル「FX」が昨年の26から大きく躍進する45候補を獲得して第4位にランクされたほか、「AMC」(AMCネットワーク傘下)が268位、「コメディー・セントラル」(バイコム傘下)が2110位につけるなどケーブル局の躍進が目立つ。

また、昨年華々しいデビューを果たしたネットフリックスが昨年のノミネート数14を倍以上上回る317位に食い込む健闘を見せ、既存メディアの中で一人気を吐くデジタルメディアの存在感をアピールしている。昨年、ドラマ部門などにノミネートされた『ハウス・オブ・カーズ』(米政界スキャンダルを描いたサスペンス・ドラマ)が今年も同部門にノミネートされたほか、主演男優賞や女優賞などにもノミネートされた。そして、今や『ハウス』を超える大ヒット作になっている刑務所を舞台にしたコメディー『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』が、コメディー部門最優秀賞候補に選ばれている。

エミー賞の中でも最もプレステージなドラマ・シリーズ部門にはHBOの看板番組となっている大型ファンタジー『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ハウス・オブ・カード』など6作品がノミネートされたが地上波番組は漏れている。ただ、コメディー番組部門には、CBSの『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』とABCの『モダン・ファミリー』と地上波テレビ番組2作が食い込んだ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>