ニコロデオンがデジタル専門番組配信

創設36年の歴史を誇る子供向け専門局の代表格「ニコロデオン」(バイアコム傘下)がこのほどインターネット及びワイヤレスのみに配信するオリジナル番組『Welcome to The Wayne』をデビューさせた。アイスクリームが大好きな10歳の男の子オリーが、奇抜なアパートで遭遇する冒険物語。毎回45分ほどの短編シリーズ。ニコロデオンでは同番組を含め合計4本のデジタル番組を無料配信する予定。

同局の人気挽回を狙った戦略の一環で、パソコン、スマートフォン(高機能携帯電話)、タブレット型情報端末などのデジタル・ディバイスを使った番組視聴を通常のテレビ視聴と同様に利用する“デジタル・キッズ”の取り込みを狙ったものだ。

 

ニコロデオンの今年の視聴率は昨年比横ばい。6月のウェブ版番組へのユニーク・ビジター数も1100万件と、昨年同月比30%の落ち込みを示すなど不振が続いている。ここのところヒット作に恵まれない放送版のほうは新番組の開発を急ぐ一方、デジタル版の拡充が優先課題との判断に至ったもの。アマゾン・プライムやネットフリックスなど、ネット配信サービスが次々に子供向け独自番組の配信を決めていることに危機感を抱いている表れともいえる。ライバル局ディズニー・チャンネルがいち早くオンライン向け番組を配信していることにも触発された結果だ。

ところで、ニコロデオンでは同局改革案の構築にあたり、05年以降に生まれた子供の番組嗜好を徹底的に研究した。その結果、「テレビ以外にユーチューブで面白おかしい猫の映像などを見て育った」同層は、残酷なシーンや下品な言葉が満載の番組を見たいわけではなく、健全なユーモアに富んだ番組を求めている、との結論に達した。『Wayne』はその線に沿ったもの。ホームページもビデオ・ゲームのサイトを加えるなど思い切って刷新した。

米メディア業界では「子供向けチャンネルは終焉を迎えている」という意見が少なくない。だが、ニールセン社によれば2014年の13月期には211歳の子供がテレビ視聴に費やした時間は月間平均111時間47分と、09年同期の108時間45分からむしろ増えており、米国の子供がテレビを見なくなったわけではなさそうだ。米調査会社ピボタル・リサーチのアナリスト、ブライアン・ワイザー氏は、(終焉について)特に圧倒的な人気を誇っていたニコロデオンを指している感があることを指摘している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>