タイムワーナー、予想を上回るQ3決算


有料チャンネルの雄
HBO、ニュース専門局CNNをはじめとするケーブル局群や映画会社などを傘下に置く米メディア・娯楽企業大手「タイムワーナー」がこのほど201479月期の決算を発表した。売上高は前年同期比3.3%増と市場の予測を上回る624000万㌦を記録した。ライバル社21世紀フォックスの買収提案を拒絶したタイムワーナーだが、独立性を貫くという主張が投資家にも受け入れられる業績となった。純利益は、事業再編などのコストがかさみ、前年同期比18.3%減の96700万㌦となった。

同社の最高経営責任者(CEO)ジェフリー・ビューケス氏は、CATV事業者「タイムワーナー・ケーブル」や出版部門「タイム」の分離を決行後、組織のスリム化を図っている。HBO部門をはじめ、ケーブル局群を束ねるターナー部門、そして映画・制作部門を傘下に置くワーナー・ブラザース部門と3部門に簡素化したが、大幅な人員削減が進行中だ。解雇される従業員は、ターナー部門が1475人、ワーナー・ブラザース部門が1000人、HBO部門が150人にも及んでいる。


業績を部門別でみると、まず同期稼ぎ頭となったのがワーナー・ブラザース部門。世界の映画会社で第
3位にランクされている映画会社「ワーナー・ブラザース映画」が同期ヒット作に恵まれず不振だったが、インターネット配信会社などへの番組販売が大きく貢献し、同部門の売上高は前年同期比3%増の約28億㌦に達した。

ターナー部門は、広告収入が前年同期比2%減と振るわなかったが、配信料収入が国内外ともに順調で、売上高は同5%増となる24億㌦を記録した。ただ、同部門は決算発表時、衛星放送大手「ディッシュ・ネットワーク」と新配信料金をめぐる交渉が暗礁に乗り上げ、不安材料となっている。CNNや総合編成局TNTTBSの配信料値上げを要求するターナー側と、「20年前は、CNNは視聴者にとって視聴必須のチャンネルだったが、いまやトップ10にも入っていない」などと応酬するディッシュ側との溝は埋まっていない。

HBO部門は、米国内に加え、アジア地域(HBOアジア)の新規加入者数が増えたことなどが寄与し、売上高は前年同期比10%増となる13億㌦となった。HBOはペイテレビに加入していない人でも番組視聴ができるインターネット配信サービスの立ち上げを発表したばかり。1000万世帯といわれるブロードバンドのみに加入している世帯をターゲットにしている模様だ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>