米テレビ、SVODがお得意先に

米テレビ界のシンジケーション市場に大きな変化が生じ始めている。これまで地上波テレビネットワークにプライムタイム番組を提供する番組制作会社にとってシンジケーション市場といえば、ケーブル局や独立系のローカルテレビ局を指していた。ところが、2015年はSVOD(会員制オンデマンド)と呼ばれるインターネット上の映像配信サイトが大きな存在感を示すことになりそうだ。


米調査会社RBCキャピタル・マーケッツがこのほど発表した予測によると、現在人気急上昇中のSVOD

サイトNetflix(ネットフリック)やHulu(フールー)、さらにはAmazon Prime(アマゾン・プライム)の3強が今年、コンテンツ(番組・映画)調達に支払う金額は68億㌦に達する見込みだ。SVODは従来のシンジケーション市場184億㌦にはまだ遠く及ばないが、昨年の52億㌦から一挙に30%増と急成長、番組制作会社にとって大事な“お得意さま”になることは間違いない情勢だ。ちなみに、68億㌦の内訳を見ると、ネットフリックスが33億㌦で断然トップ。これにアマゾンの17億㌦、フールーの15億㌦などと続いている。

SVODサービスへの15年売上予測を制作会社別で見ると、トップにランクされたのが米メディア企業大手CBSコーポレーション傘下のCBSスタジオ。同社は6番組(シリーズ)をSVODに提供する予定だが、売上は17900万㌦に達する見込み。これにタイムワーナー傘下ワーナー・ブラザース・テレビの1600万㌦、ライオンズゲイト6100万㌦、ソニー・ピクチャーズ・テレビ4300万㌦、20世紀フォックス・テレビ4000万㌦、ABCスタジオ4000万㌦、ユニバーサル・テレビの2200万㌦などの順となっている。

SVOD市場は15年以降も拡大する模様。人気番組の需要も高くなりそうで、その分価格も跳ね上がりそうだ。地上波テレビネットワークのプライムタイム番組でヒット作になった番組は3強の間で激しい争奪戦が展開中。例えばFoxネットワークが放った人気コメディー番組『New Girl(ニュー・ガール)』は当初ケーブル局MTVTBS1エピソード当たり40万㌦を払っていたが、今年12月から独占権を獲得したネットフリックは90万㌦を払ったという。 

現在2シーズン目にしてNBCネットワークの看板番組にのし上がった大型サスペンスドラマ『ブラックリスト』はネットフリックスが競り勝ったが、1本当たり200万㌦の値がついたという。ネットフリックスは年間予算30億㌦の9割を再放送番組購入に充てている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>