取材現場の無人機運用調査開始

米連邦航空局(FAA)はこのほど、米ニュース専門局CNNに対しドローン(Drone)と呼ばれる小型無人機を報道目的に使うためのテスト飛行を許可したと発表した。テスト飛行はCNNと米ジョージア工科大学傘下の研究所との共同作業というかたちでただちに始まった。調査には12年の期間がかかる模様だ。消費者向けに販売されている超小型無人機からHD(高精細度)画像が撮影できるカメラが搭載できる無人機など様々なドローンが実験に使われる予定。収取されたデータなどはFAAに提供される。

CNNに負けじと、他報道機関なども相次いで同様なテスト飛行の実施を発表している。ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、地上波テレビネットワークやニュース専門局などを傘下に置くNBCユニバーサル、AP通信など10社が同じくジョージア工科大学との共同研究を独自に進めることを発表した。

米国では、民間企業によるドローン使用は原則禁止されているが、様々な報道機関から規制緩和を求める声が高まっているのが現状。FAAではCNNなどとの共同調査を経て、報道目的のドローン飛行に関するルールづくりにつなげたい考えだ。FAAのマイケル・フェルタ長官は発表にあたって、「ドローンは報道機関に重要な取材機会を提供するだろう。(CNNとの合意が)報道取材を目的とした無人機飛行を全米の航空システムに融合させる基盤になることを望んでいる」とコメントした。


報道各社はドローンの活用について、取材者が近づけない危険な現場などを想定している。大規模な火事や竜巻現場などが挙げられるが、米
CBSネットワークは昨年暮れ、86年に原子力発電所の爆発事故があったウクライナ国内のチェルノブイリの空撮をドローンを使って行っている。

また、ドローンの経済的メリットも見逃せない。ヘリコプターや軽飛行機撮影をコストの問題で出動をためらる社も少なくないが、ドローンならグーンと手軽。ネブラスカ大学ジャーナリズム学科のマット・ウエイト教授は、「ヘリコプターのチャーター料は1時間当たり約1500㌦かかるが撮影機材を搭載できるドローンは1000㌦で購入できる」と指摘している。

FAAは昨年夏、映画製作会社に対し、撮影現場における無人機の使用を条件付きで認める決定をしたが、飛行プランを事前に提出しなければならないなど、報道機関にとって非現実的な飛行許可などと批判されていた。

<テレビ朝日アメリカ 北清>