スーパーボウルCM、ネットでも同時放送

米スポーツ界はもとより、テレビ界の一大イベントであるNFL(米プロフットボール協会)王座決定戦「スーパーボウル」の第50回大会が201627日、サンフランシスコ市郊外のサンタ・クララで開催される。米市民1億人以上が視聴する“お化け番組”スーパーボウル中継番組は、CBSFOXNBCの地上波テレビ3大ネットワークが交代で放送。来年はCBSの番だが同ネットワークはこのほど、インターネット上でストリーミング中継される番組内に、放送中に挿入されるCM(コマーシャル)をそっくりそのまま流す決定を下した。CBSによれば、地上波で放送される人気番組の全CMが、オンライン版でサイマル放送されるのは初めてのケースだという。

これまで放送と同時にネット上で配信される番組には、追加料金支払いに応じたスポンサーのみが放送時と同じCMを流していた。しかし、次回のスーパーボウルでは放送版にCMを出稿する広告主は、ネット上のCMを一括購入することがいわば義務付けられることなる。ちなみに、NBCネットワークが今年放送したスーパーボウルでは、ネット版にもCMを同時出稿した広告主は70社中わずか18社に留まった。

CBSネットワークの親会社CBSコーポレーションの最高経営責任者(CEO)、レスリー・ムンベス氏は来年のスーパーボウル30CMの料金をNBCが今年課した450万㌦をはるかに上回る500万㌦以上に設定するよう指示を出している模様。実際には460万-470万㌦で取引されているという情報(業界誌「アドウィーク」)もあるが、いずれにしても、ネット番組のCMをパッケージで提供することで広告主を説得しやすい状況にする狙いもあるようだ。

NBCネットワークなどを傘下に置く米メディア企業NBCユニバーサルのスティーブ・バークCEOは、「NBCの人気深夜番組の視聴者の7割がネット上で番組を視聴しているが広告収入にまったく反映されていないのが現状。このような状況が長く続くことは受け入れがたい」などと述べるなど、放送事業者の間にネット配信された番組視聴率が広告料金に正しく反映されていないことへの不満が募っている。今回のCBSの決定は、そうした不満をもとにした反撃攻勢のたまものともいえそうだ。

スーパーボウルのネット配信は2012年から始まり当時のユニーク・ビューワー数は210万件。その後毎年ビューワー数が伸びており、今年は前年比9%増となる250万件に達した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>