ミレニアルのテレビ視聴急落 

 米広告主やテレビ業界が最大ターゲットにしている若者層「ミレニアル世代」(1834歳)のテレビ視聴時間が下降線カーブを描いていることが顕著になっている。米著名調査会社「モフェット・ネイサンソン」がこのほど発表した調査結果によれば、大手11の地上波テレビネットワークとケーブル局の同層視聴率(20147月-156月)が14%も下落していることが分かった。同社では、「テレビ関係者の間で若者のテレビ離れ現象が起こっていることは既成事実となっているが、これほどのスピードで進んでいるという認識はなかったのではないか」と警笛を鳴らしている。

 ちなみに、3549歳層では視聴率下落が7%2歳以上の全体視聴者も7%減と、ミレニアル世代に比べテレビ離れがそれほど進んでいないことが浮き彫りになっている。

 これらの結果は、特にミレニアルの間でデジタル・ディバイスなどと呼ばれるスマートフォンやタブレット型情報端末などを利用して、自分の好きな番組を好きな場所で好きな時にみる新し視聴習慣(動画視聴)が根付き始めていることを明確に示すものだ。

 これまでにも若者層は新聞を読まない、というのが米国での常識だったが、年を取り所帯を持つようになると子供の教育情報などを知るため新聞を購読し始めるというのがパターンだった。だが、モフェット・ネイサンソン社ではテレビ視聴方法に関する限り、「若いときに培ったデジタル視聴習慣は彼らが年を取っても変わらないだろう」と予測している。

 一方、経営コンサルティングなどに当たるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)によれば、ミレニアル世代の予備軍818歳層における“最も人気のある娯楽”として番組の動画視聴が挙がっており、テレビ離れがより若い層で始まっていることが明らかになっている。PwCの調査で同層が“大好きなコンテンツ”に挙げたのが動画番組(53%)。ケーブル局のドラマ・リアリティー番組(47%)、ビデオゲーム(36%)、地上波ネットワークテレビ番組(34%)、劇場映画(33%)などを抑えトップにランクされている。

 ただ、同層がテレビをつけて番組や映画を見る時間は週当たり平均7.3時間と、ネットフリックスに代表される有料動画配信サービスをテレビに接続して視聴した番組・映画視聴6.2時間を上回っており、「決まった時間にテレビを見る」習慣が根強く残っていることも浮き彫りになっている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>