ブロードバンド、映画が好調で増収 

 米CATV(ケーブルテレビ)最大手で、メディア・娯楽企業NBCユニバーサル(NBCU)も傘下に置くコムキャストがこのほど、201579月期の決算報告を発表した。ブロードバンド通信(高速インターネット)サービスの加入者数が増大したことや映画部門が好調だったことが寄与し、売上高は前年同期比11.2%増となる1866900万㌦に達し、同社にとって記録的な四半期決算となった。純利益は、前年同期にあった税制上の優遇措置に見合うものがなく、23%199600万㌦だった。

 CATVサイドの業績を見ると、同期の映像配信サービス加入者減は48000軒と、四半期ベースとして9年ぶりに最も少ない減少数となり、米ペイテレビ業界で懸念されている“コードカッティング”(解約)減少にブレーキがかかったの見方も出るほど。相変わらず好調だったのが、ブロードバンド・サービスへの新規加入。同期新たに32万軒を獲得、6年ぶり(四半期ベース)の記録となった。またビジネス向けのブロードバンド・サービスなどが好調だったことも手伝って、CATV全体の売上高は前年同期比6.3%増となる117億㌦となった。

 NBCUサイドを見ると、最も光ったのが映画部門。世界的大ヒット作となった『ジュラシック・ワールド』に加え、アニメ映画『ミニオンズ』のヒットなどで絶好調。同部門の売上高は前年比64%もの増加となる19億㌦を記録した。

 また、テーマパーク部門も大きく貢献した。売上高は同14.1%増の89600万㌦。フロリダ州のハリー・ポッター・テーマパークなどが人気を博し、入園者が増加したことなどが要因となっている。テーマパークについては、ウォール街の著名なアナリスト、クレイグ・モフェット氏が、「これまでは(各娯楽企業にとって)隠れた宝もの的存在だったが、目に見える巨大な力をもった存在になりつつある」と分析している。同社では今夏、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン運営会社を買収したほか、中国への進出など、海外への積極的展開を進めている。

 NBCUの基幹事業、ケーブルテレビ局や地上波テレビ事業も好調だった。ケーブル局部門は、スポーツ専門局NBCスポーツ・ネットワークの全米自動車競走協会(ナスカー)主催のカーレース中継番組が好調だったことなどが手伝って売上高は7%24億㌦。地上波も夏季番組が高視聴率だったことや、番組販売などが活発だったことなどから売上高は11.3%増となる20億㌦を記録した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>