米コムキャスト、映像配信など好調で増収増益

 米最大のCATV事業者でメディア・娯楽企業NBCユニバーサル(NBCU)のオーナー会社でもあるコムキャストがこのほど発表した201613月期決算は、映像配信やブロードバンド(高速インターネット通信)サービスへの加入者が増えたことなどが寄与したほか、NBCU傘下のテーマパーク部門が好調だったこともあり売上高は前年同期比5.3%増の188億㌦、純利益は3.6%増となる21億㌦を記録した。

 まずCATVセクターを見ると、映像配信サービスへの新規加入者数が53,000軒と9年ぶりの好結果となった。前年同期は8000軒を失っていることを考えれば大逆転といえる。米映像配信サービス(ペイテレビ)業界では主に若者層の間で顕著になっている解約傾向(コードカッティング)の拡大が深刻な問題になっていることを考えればなおさらのことだ。映像配信に加え、ブロードバンド通信(高速インターネット)も同期の加入者数が前年同期比4%増となりグループ全体に大きく寄与した。

 

 同社では好調の要因について、前期同様、同社が新たに開発したインターネット接続型でボイスアクティベート機能も備えたセット・トップ・ボックス(STB)「X1」が新たな顧客を引き寄せたほか、評判が芳しくなかったカスタムサービス改善が功を奏したとしている。CATVセクターの売上高は選挙CM収入も手伝って6.7%増となる122億㌦に達した。

 一方、NBCUセクターを見ると、地上波テレビNBCネットワークがプライムタイム番組の視聴率不振にともなう広告収入の落ち込みなどがたたったものの、テーマパーク部門が健闘、NBCU売上高は前年同期比3.9%増となる69億㌦を記録した。 

 テーマパークについては日本のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の運営会社の子会社化が貢献、同部門売上高は57.5%増の10億㌦。前年同期にヒットした恋愛映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』に見合う作品がなく不振だった映画部門を十分に補った。

 前年同期にはスーパーボウル中継があったNBCネットワークは減収だったが、スーパーボウル効果を差し引きすれば同期の売上高は10.2%増となる勘定だという。

 なお、コムキャストは決算報告翌日、『シュレック』や『カンフー・パンダ』などのヒット作で知られる米アニメ制作会社ドリームワークス・アニメーションを38億㌦で買収すると発表した。今後NBCU傘下に置かれ、テーマパーク部門の強化にも貢献するものと期待が寄せられている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>