不振がつづくバイアコム、CBSは好調

 米メディア王サムナー・レッドストン氏が名誉会長を務めるメディア企業バイアコムがこのほど発表した201513月期決算は、傘下のケーブル局の不振などが影響し、売上高は前年同期比3%減となる30億㌦と、ここのところ続いている不振から脱しきれない経営状況を印象付けるかたちとなった。高齢のレッドストン氏から会長職を引き継いだフィリップ・ドーマンCEOへの風当たりが弱まることはなさそうだ。純利益は、大型リストラコストの影響で5300万㌦の赤字となった前年同期から今期は3300万㌦の黒字に転じた。

 同社基幹事業のメディア・ネットワークス部門は子供チャンネルの老舗ニコロデオンや若者向け専門局MTVなどの視聴率が引き続き芳しくないことや、ドル高の影響で海外市場の広告売上がマイナスに転じたことなどから売上高は3%減の238000万㌦となった。また、パラマウント映画を中心としたフィルムド・エンターテイメント部門は海外におけるDVD売上などが低調だったことなどから1%減となる65500万㌦だった。なお、パラマウントについてドーマン氏は少数株売却による資金調達が6月中に実施される見通しを示した。

 一方、レッドストン氏が保有するもう一つのメディア企業CBSコーポレーションの決算は、傘下の地上波テレビCBSネットワークが同期に放送した「スーパーボウル」の高視聴率などが貢献し、売上高は前年同期比10%、四半期ベースでは過去最高となる385000万㌦を記録した。純利益も20%増の47300万㌦と好調さをアピールした。

 CBSネットワークはスーパーボウルに加え、中継したNFL(米プロフットボール協会)試合数が前年より3試合多かったことと、プライムタイム番組の視聴率が好調で広告収入が49%増となった。CATV、衛星放送、電話会社が提供する映像配信サービス(ペイテレビ)各社から徴収する再送信料収入が15%増となったことも寄与した。

 人気有料チャンネル「Showtime(ショータイム)」などを抱えるケーブル・ネットワーク部門は番組予算などがかさみ売上高は2.6%減となる52500万㌦。全米に展開するローカルテレビ局部門は選挙CM収入やペイテレビからの再送信料アップのおかげで、売上高は前年同期比8.9%増となる64900万㌦となった。

 ムンベスCEOは、5月末に終了する今シーズンで、CBSネットワークが世帯視聴率に加え広告主が重視する1849歳層ともに首位の座を獲得するとの見通しを示した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>