番組ジャンル別のビンジ・ウォッチング

 連続ドラマ番組などを一気に視聴する行為“ビンジ・ウォッチング”の詳細がこのほど明らかになった。動画配信サービス最大手米ネットフリックスが全世界の会員を対象に昨年10月から今年5月にわたり100以上の連続ドラマシリーズ(世界中で視聴できる番組)の視聴状況を調べたところ、ビンジ・ウォッチングされやすい番組の筆頭にホラーやスリラー番組が挙げられたことが明らかになった。

 ビンジ・ウォッチングの速度も、ホラーやスリラー、さらにはサイファイ番組においてはシリーズすべてを視聴するのに平均4日間と他ジャンル番組に比べ速いことが分かった。また、これらの視聴者がビンジ・ウォッチングに費やす時間は一日平均2時間半に上るという。

 

 ホラーやスリラー番組などに次いでビンジ・ウォッチングされやすい番組にランクされたのがコメディー、犯罪捜査、スーパーヒーローを扱った番組。これらの番組は平均5日間ですべてのシリーズを見終える人が多いという。同ビンジ・ウォッチャーの視聴時間は2時間10分。

 一方、一番のろいビンジ・ウォッチングは政治ドラマや歴史ドラマなどに偏っている。全シリーズを見終えるのに平均6日間。一日当たりの視聴時間は1時間45分となっている。いずれにしても、ネットフリックスの会員は番組を一気に視聴するメンバーが圧倒的に多いことが浮き彫りになっている。

 いずれにしても、米国はもとより世界でも圧倒的な存在感を示すまでに成長したネットフリックスの視聴習慣とあって、他動画配信サービス関係者らにとっても大いに参考になるデータといえそうだ。

 ところで、今年13月期に世界における会員数が8000万突破、2015年来の株価は134%増と、飛ぶ鳥を落とす勢いのネットフリックスについては、米テレビ界や映画界から複雑な思いが寄せられているようだ。「コンテンツを大量に買ってくれる大事なお客様」(味方)であるともに、「視聴者や観客を奪ってしまう」敵でもある、というわけだ。

 映画界からは、これまで映画館で封切られるはずの大型予算映画が、少しづつネットフリックスに奪われ始めている、などの懸念が寄せられている。

 米調査会社モフェット・ネイサンソンによれば、ネットフリックス人気のために放送される番組の視聴時間は昨年3%減。米番組視聴全体の6%を占めるまでに至っているが、20年までに14%にまで拡大するという。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>