アメリカン・メディア
598号    2010年03月19日    編集:テレビ朝日アメリカ・インク

アメリカン・メディア

アメリカン・メディア米報道番組が映像すり替え

アメリカン・メディアSNSサイトがニュース局のライバルに

アメリカン・メディア米TV新シーズン広告売上が二桁台増か

アメリカン・メディア「テレビ」が淘汰され「インターネット」に


米報道番組が映像すり替え


トヨタ自動車の車の「突然の急加速」問題を報道したABCニュースの取材方法に「倫理的な問題」があった可能性が指摘されている。AP通信は3月11日、「ABCニュースに頭痛を与える2秒間のビデオ映像」と題した記事を配信、「ABCが全国向けに放送した夕方のニュース番組『ワールド・ニュース』の中で、電子制御システムの欠陥を指摘する報道の内容に倫理的な問題があった。トヨタがABCに対する心証をますます害している」と伝えている。この問題をいち早く伝えた、ゴシップ・スクープ・サイト「Gawker.com」は、「やらせ、そして、うその報道」だったなどと報じている。


問題視されているのは急加速を示すタコメーターの映像。ABCの記者が、急加速問題は電子制御システムの不具合によって起こると指摘した南イリノイ大学のディビッド・ギルバート準教授の走行実験に同乗し、「突然の急加速」状況を再現したが、エンジンの回転数を示すタコメーターのクローズアップの映像(約2秒)が、実は駐車中のものだったことが発覚した。
ABCは映像を差控えたことを認めており、「編集上の間違った判断だった」としている。差し替えた理由については、「走行中にタコメーターのクローズアップ映像を撮影することが困難だったため」としているが、「エンジン回転は、実際に走行中にも何度も上がっており、内容を変更したわけではない」と主張している。


AP通信はまた、実験車を運転したブライアン・ロス記者が、故意にエンジン回転を上げることを事前に知っていたにもかかわらず、「(急加速に)動揺してしまった。車を止めるのが大変だった」などと番組中で報じていた」と紹介している。


ニューヨークのシラキュース大学ジャーナリズム学科のシャーロット・グライムス教授はAP通信に、「報道の中で、視聴者に信憑性を疑わせる箇所があるならば、それだけで重大な問題だ」とABC報道姿勢に疑問符を投げかけている。


番組は、2月22日に放送されたが、同シーンはその後、同局のホームページなどで再三にわたり使われた。ABCのロス記者は、昨年暮れからトヨタの急加速問題を徹底追及していることで知られている。ギルバード準教授は番組がきっかけとなり、連邦議会の公聴会でも証言している。 


BACK TO TOP


SNSサイトがニュース局のライバルに

米国で若者を中心に圧倒的な人気のソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)が、ニュース専門局からライバル視され始めた。CNNテレビの国内担当社長、ジョナサン・クライン氏はこのほど、ニューヨークで開催されたビジネス・ウィーク誌主催のメディア会合で、「我々が非常に脅威に感じているのは、ライバル局ではなくSNSサイトなどだ。すでに視聴者を奪われ始めている」と発言した。クライン氏はさらに、「フェイスブックなどSNSサイトが、情報源として信頼も勝ち得ている。この挑戦をしっかり受け止めなければならない」と強調した。昨年、CNNが3大人気専門局(Foxニュース・チャンネル、MSNBC、CNN)中、最下位に転落したことに関し感想を求めれた際に、述べたもの。


最下位については、「データがプライムタイムの視聴者数に基づくもの。2月の全日の視聴者総数は1億人と、Foxの9100万人を上回っている」と指摘し、「CNNは、プライムタイムで放送しているトーク番組に限定して競争をしているわけではなく、幅広い層の視聴者にアピールしている社だ」とかわした。クライン氏はさらに、CNNが海外における認知度が抜群であることや、インターネット・サイト(CNN.com)が人気首位の座を保っていることを挙げ、「CNNこそが(ニュース専門局)ナンバーワンであると自負している」と述べた。ただ、Foxファンの視聴時間が長いことについては、「視聴者ができる限り長くCNNを見てくれるよう努力しなければならない」と述べた。


ニュース専門局が引き続き、「採算の取れるビジネス」であり続けることが出きるかとの質問には、「昨年の売上高は歴代1位を記録した」と答え自信を示した。


BACK TO TOP


米TV新シーズン広告売上が二桁台増か

 CBSネットワークを傘下におくCBSコーポレーションの社長兼最高経営責任者(CEO)、レスリー・ムンベス氏はこのほど、5月に迫った「アップフロント」交渉について、「昨年度比二桁台の売上拡大を得られるだろう」と強気の味方を示した。フロリダ州マイアミで開催された金融企業クレディ・スイス主催のメディア会合で発言した。アップフロントでは、9月から始まる米テレビ界の新シーズンの番組編成披露と、プライムタイム(午後8〜11時)で放送される番組のCM前売り販売が行われるが、テレビ及び広告業界の健康状態を示すバロメーターにもなっている。


昨年のアップフロント売上は、不況の影響で大打撃を受けたが、その後、シーズン直前や初頭に行われる「スキャター」交渉が大きく好転。「このようなスキャターは、見たことが無い」(ムンベス氏)ほどの好調ぶりを示したことで、今年のアップフロント交渉が有利に進められると見込んでいる模様。ちなみに、昨年のスキャター交渉におけるCBSのCM単価はアップフロントのものを30%も上回る盛況だったという。ムンベス氏によれば、アップフロントの活況は、CBSネットワークのみに留まらず、FoxやNBCなど他ネットワークにも及ぶという。


ムンベス氏は、アップフロントでの交渉が思惑通りに進まない場合は、昨年度同様、予約販売するCM枠を65%程度に押さえ、今年夏以降のスキャター交渉で巻き返しを図りたい考え。ちなみに、通常のアップフロントでは75〜85%のCM枠が売買される。


広告代理店大手「インターパブリック」傘下の調査会社「マグナ」では、ネットワークテレビ向けの広告支出推定額を、2009年は前年比3.6%減となる333億j(約3兆円)と見ているが、今年は昨年比6.2%増となる353億j(約3兆1770億円)、11年は前年比4.9%増となる370.5億j(約3兆3345億円)に達すると予測している。


BACK TO TOP


『テレビ」が淘汰され「インターネット」に

米市民にとって一般的な媒体手段は、「テレビ」から「インターネット」に移行する。1994〜1997年に米連邦通信委員会(FCC)の委員長を務めたリード・ハント氏はこのほど、ニューヨークのコロンビア大学で講演し、テレビ放送の“最も一般的な媒体”としての役割が終焉を迎えるとの考え方を強調した。


ハント氏によれば、米国にとって唯一の一般的媒体としてブロードバンド(高速大容量)通信を普及させるべきだとの結論に達したのはFCC委員長就任後まもなくにあたる1994年。その流れは現FCCが、3月16日に発表した「ブロードバンド整備計画」にも継承されていると指摘した。


ハント氏は、インターネットの優位性について、@インターネットこそが、米国の価値やテクノロジーの世界的普及のための経路を提供できる唯一の媒体Aインターネットは、映像ばかりかテキスト配信も可能。双方向性も兼ね備え、他媒体に比べ根本的にリッチな媒体Bインターネットは、言語や人種の違いを超え、何らの規制も受けない、多様性のある媒体になり得る唯一の媒体、などと理由を挙げている。また、ハント氏によれば、テレビ放送は民主主義にとって脅威になる可能性があるが、インターネットは民主化を促進するという。


ハント氏はさらに、昨年6月に実施された地上波テレビのアナログ波からデジタル波への移行について言及、「政府がコンバーター購入のためのクーポン券を配布するなど、いまだに地上波放送の促進に努める姿を見て、驚きを禁じえなかった。ブロードバンド・サービスへの加入を補助するクーポン券をもらったほうが、市民のためになった」などと述べた。


BACK TO TOP

小誌へのお問い合わせはテレビ朝日アメリカ
info@tv-asahi.net までお寄せください。