米紙トップ25社発行部数が10%減少

米紙の発行部数の減少傾向に歯止めがかからない。今年3-9月期の全国日刊紙の発行部数は前年同期比10.6%も減少。米発行部数監査会(ABC)によれば、1940年代に比べ一日当たりの発行部数が4400万部の減少を示している。こうした新聞業界の惨状を、米国を代表する名門紙、ニューヨーク・タイムズは、「雪崩現象のようだ」と評している。


全米トップ25の新聞の中で、最も発行部数減少幅が大きかったのが、サンフランシスコ・クロニクルの25.8%減(同前年同期比)。これにニューヨーク近郊のスター・レジャー・オブ・ニューアーク22.2%減、ダラス・モーニング・ニューズ22.2%減、ニューヨーク・ポスト18.8%減、ボストン・グローブ18.5%減などと続いている。米国では数少ない全国紙の一つ、USAトゥデーも17.1%減となった。


トップ25の中で、発行部数が増加となったのはたったの3紙。ライバル紙が軒並み廃刊となり、“地元唯一の新聞”となったシアトル・タイムズ紙32.6%増(同前年同期比)と、デンバー・ポスト紙61.9%増。全国経済紙ウォールストリート・ジャーナル紙は0.6%増となった。ウォールストリート・ジャーナルの発行部数には電子版(有料)が含まれている。


一方、低下の一途をたどる紙の発行部数とは裏腹に、電子版へのアクセス数は増加傾向をたどっている。米調査会社ニールセンによれば、2007年には6000万件だったユニークビジター数が、今年は7200万件に跳ね上がる見込みだ。


業績不振から抜け出せない各紙は、大型リストラや配当停止などに追い込まれているが、ニューヨーク・タイムズ紙はこのほど、1250人の編集部門の8%にあたる100人を削減する方針を発表。編集部門でこれほどの削減を決行したのは同社創設以来のこと。