米ネットワークTV、シーズン前半は低調

4大ネットワーク(ABCCBSFoxNBC)の201213年シーズン前半を振り返ると、全社合わせたプライムタイム平均視聴率が、広告主が番組成功の尺度として注目する1849歳層で前シーズン比10%減少となる11.0%と低調に終わったことが明らかになった。

 

ネットワーク関係者の間では、「HDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)のさらなる普及で番組放送時の視聴者数が減ったためで、番組そのものは見られている」、「(同期間)大統領選挙関連や米東海岸を襲った超大型のハリケーン関連の特別番組などがありレギュラー編成がたびたび中断した」などと防戦する向きもある。しかし、業界誌バラエティーは、「各ネットワークが視聴者の心を掴むことのできる新番組を編成できなかったことが真相だ」と手厳しい評価を下している。

 

ネットワーク別で見ると、同視聴率が前シーズンから上昇したのはNBC23%増)のみ。ABC7%減少、CBS18%減に続き、Foxはなんと26%も落ち込む悲惨な状況になっている。かつての人気番組の衰退と新番組不作が響いた。


総世帯視聴者数は、NBCが平均891万人で前シーズン同期比21%増だったのに対し、ABC917万人で6%減。CBS8%減となる1172万人。Fox27%減となる685万人だった。

 

復活NBCの好調さを支えているのが、常に視聴率ナンバーワン番組にランクされているNFL(米プロフットボール・リーグ)の試合中継番組『サンデー・ナイト・フットボール』ともう一方の看板番組になっている人気オーディション番組『Voice(ヴォイス)』。それに、J.J.エイブラムス監督が手がける大型サイファイ(Sci-Fi)ドラマ『レボルーション』がブレークし大きく貢献している。レボルーションは、毎週月曜日午後10時放送。平均視聴率は4.5%1849歳層)。常に人気番組20位以内にランクされていて、今シーズンスタートした合計18本の新番組のうち“本物のヒット作”と呼べる唯一のドラマ番組だ。

 

一方、新番組の不振ぶりに比べ、コメディー番組『ビッグバンセオリー/ギークなボクらの恋愛法則』(CBS)や『モダン・ファミリー』(ABC)、さらには犯罪捜査番組『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』(CBS)などベテラン番組が引き続き絶好調で常にトップ10入り。とりあえずネットワークテレビは安泰という声も聞こえる。

 

TVシーズンは年明け1月からシーズン後半戦となる“ミッドシーズン”に突入、正念場を迎える。

<テレビ朝日アメリカ 北清>