10年広告支出が回復基調に


2010年における米広告市場が緩やかな回復基調に転じる見通しだ。広告代理店大手「インターパブリック」傘下の調査会社「マグナ」で市場予測を担当するブライアン・ワイザー氏によれば、10年の広告売上は、昨年比0.1%減となる1610億㌦(約14兆4900億円)。横ばい状態ながらも、昨年12月に同氏が出した予測値1.3%減を上方修正するものとなった。


今年は中間選挙と冬季五輪が開催されるが、両イベントがもたらすローカル局のCM収入を加味すると全体の売上高は、昨年比1.4%増となる1643億㌦(約14兆7870億円)に達する見通しだ。


ワイズナー氏は「バンクーバ五輪がもたらす広告売り上げは4億8750万㌦(約439億円)と、06年トリノ大会に比べ25%も減少する一方で、中間選挙 関連の広告費は27億㌦(約2430億円)と、大統領選挙があった08年の24億㌦(約2160億円)を上回ると分析している。


媒体別で見ると、地上波ネットワークとケーブル・ネットワークの立ち直りが早く、両メディアの広告売り上げ総額は昨年比6.2%増となる353億㌦(約3 兆1770億円)を記録する勢いだ。ローカルテレビは、昨年比1.0%減143億㌦(約1兆2870億円)を見込んでいるが、選挙CMの大半がローカル局 に流れ込むと見ており、最終的には昨年の売り上げを上回るとしている。
インターネット広告も順調な伸びを示す見込みで、検索連動型広告は、昨年比12.2%増となる156億㌦(約1兆4040億円)、動画広告も同4%増、57億7000万㌦(約5193億円)に達するとしている。


これに対し、相変わらず不振を続ける媒体が新聞と雑誌。ワイズナー氏は、対新聞広告売り上げは昨年比10.7%減少となる218億㌦(約1兆9620億 円)、雑誌は同7.3%減、143億㌦(約1兆2870億円)に留まると見ている。ただ、09年における新聞広告費の売り上げが前年比27.2%減、雑誌 が同19.6%減だったことを考えれば、今年は改善に向かうともいえそうだ。

なお、ワイズナー氏は、10年から15年の年間成長率についても、2.3%と、昨年12月に発表した2.1%を上方修正している。