低視聴率番組のCM代償に動画CM枠を提供


 米地上波4大ネットワークのひとつ、Foxネットワークが9月から始まった米テレ ビ界新シーズン(2010-11年シーズン)前半戦で視聴率不振に見舞われている。10月最終週の視聴者数をみると、NBCとCBSが昨年同期の視聴者数 を上回っているのに対し、ABCは3%減少しているが、Foxは14%減と大きく出遅れている。長寿番組となっているアニメ・コメディー番組「ザ・シンプ ソンズ」の視聴者数が昨年同期比9%の減少を示せば、心理学者が活躍する犯罪捜査番組「Lie to Me」は27%の落ち込みを示すといった具合。さらに、今シーズン大きな期待を背負ってデビューしたテキサスの油田をめぐるメロドラマ「ローン・スター」 は、まったくの空振り。番組は第2話が終わった後でキャンセルせざるを得ない悲惨な結果となった。


同ネットワークの多くの番組が目標視聴率に達せず、広告主になんらかの補償をすることになるが、Foxがインターネット上に配信している番組に挿入する CM枠を代償として受け取る広告主が表れ業界の注目を集めている。広告主の具体名などは公表されていないが、Foxが共同出資している人気動画配信サイト 「Hulu(フールー)」で配信されているFoxの番組のCM枠が使われるという。これまでは、ネットワークがスポンサーに対し、他番組などのCM枠を供 給するのが慣わし。広告業界専門誌「アドバタイジング・エイジ」によれば、広告主の間でテレビ視聴者と動画閲覧者を対等に扱う機運が高まっていることを改 めて印象付ける結果となった。


ネット上で配信される番組に挿入されるCMは、単独スポンサーのものが多いほか、それぞれのCM時間が15~30秒と放送版に比べ極めて短く、視聴者(閲 覧者)からの評判も「CMがまったく気にならなかった」などと好意的なものが多いようだ。大手広告代理店グループMの関係者は、「オンライン・ビデオに挿 入されるCM人気がさらに確認されれば、番組CMにオンライン版のCMを加え一括して販売する動きが加速する可能性がある」と指摘している。