NBCユニバーサルのビベンディ株

米メディア企業大手NBCユニバーサル(NBCU)は、世界最大の複合企業といわれるゼネラル・エレクトリック(GE)が80%、仏企業ビベンディが20%の株式を所有する合併会社。ところが、ビベンディが同株式を売却する可能性が取り沙汰され、同社が保有する20%の株式の行方をめぐって様々な憶測が飛び交っている。


GEの広報担当者は業界誌「ブロードキャスティング&ケーブル」の取材に対し、「ビベンディは20%の株式を上場する権利を保有している」と前置きした上で、「もし、ビベンディが権利を行使した場合、GEは①新たなパートナーを探す②同株式を上場する③GEがビベンディ株を買い取る、の3つのシナリオを想定していることを明らかにした。


NBCUはNBCネットワークやスペイン語放送ネットワーク「テレムンド」、さらには、有力ケーブル「USAネットワーク」やニュース専門局「MSNBC」などのテレビ部門に加え、映画会社「ユニバーサル・ピクチャーズ」などを傘下に置く。投資銀行大手「JPモルガン」は、NBCUの企業価値を300~350億㌦(約2兆8500億円~3兆3250億円)と推定している。


GEの最高経営責任者、ジェフリー・イメルト会長は2008年の年次報告書の中で、「NBCUを売却すべきだろうか。答えはノーだ。オリンピックの前だろうと後だろうと有り得ない話だ」と、真っ向から否定している。ちなみに、NBCは長年にわたり五輪の独占放送権を握っていることから、オリンピック・ネットワークの異名をとっている。


しかし、NBCUが異業種企業であることなどから、売却を検討しているとのウワサが頻繁に浮上し、今回も業界内には、「ビベンディ次第で、GEがNBCUをスピンオフ(切り離す)可能性は少なくない」(メディアポスト)との見方が根強い。いまのところ、ビベンディ・サイドは音なしの構えだが、11月中になんらかの意思表示を行う予定。