NYタイムズ電子版の有料化間近


経営が圧迫されている米有力紙ニューヨーク・タイムズ紙が電子版の有料化に向けた動きを加速化させている。英ファイナンシャル・タイムズ(FT)紙などによると、ニューヨーク・タイムズ紙は現在、読者に対するアンケートなどを通じて市場調査中。年間30~60㌦(約2850~5700円)の有料化を購読者が受け入れてくれるかどうかを探っている。


FT紙によれば、一般利用者には月額5㌦(約475円)、同紙の購読者には月額2.50㌦(約238円)を課す案が浮上しているという。電子版の有料化の期日について、同社の広報では未定としているが、FT紙は関係者の話をもとに、「3~4週間後に迫っている」と報じている。米各紙はウォールストリート・ジャーナル紙などを除けば、電子版(記事全文)は無料で提供するのが主流。ニューヨーク・タイムズ紙が有料化に踏み切れば、他紙が追随する可能性もある。

米国では読者の新聞離れが深刻で、副収入の道を模索している新聞社にとって電子版の有料化は常に検討材料だった。ただ、「インターネットは無料であるべき」と考える消費者の反発などを恐れて、各紙は有料化には慎重な立場をとってきた。先頭バッターに名乗りを上げることに躊躇している社も少なくない模様で、米国を代表するニューヨーク・タイムズ紙が先陣を切ってくれれば、参入しやすくなるというわけだ。

FT紙は、発行部数100万部の新聞社が電子版を月額7.50㌦(約713円)の有料にすれば、2年以内に8220万㌦(約78億円)の副収入につながる可能性があるとの試算を紹介している。

ニューヨーク・タイムズ紙は購読数や広告収入の落ち込みが経営を圧迫し、自社ビルを抵当にメキシコの資産家から2億5000万㌦(約238億円)を借り受けているほか、大リーグの名門チーム「ボストン・レッドソックス」の持ち株の売却を模索している。また、傘下のボストン・グローブ紙の大規模なリストラ策も決行している。