NY紙電子版、有料化後の加入者は35人


ニューヨーク近郊のロングアイランドの有力紙「ニューズデー」電子版の有料サービ スが苦戦している。同紙は、09年10月からそれまで無料だった電子版へのアクセスを、一週間5㌦(450円)、年間260㌦(約2万3400円)に設 定、全米の新聞に先駆けて有料化した。ところが、それ以来3ヶ月が経過した現時点で、加入者はたったの35人。ニューヨーク・オバザーバー紙によれば、こ の「驚くべき数字」は、1月中旬に開かれた社内会合で、ある記者が上層部に問いただしたことを受けて披露されたもの。同紙によれば、耳を疑った記者が、再 度数字を聞き直したという。


同紙では有料化に踏み切った際、新電子版の構築に400万㌦(約3億9000万円)を投入した模様だが、オブザーバー紙は、新規加入者が35人に留まっていることで、「回収できたお金は9000㌦(約81万円)に留まっている」と皮肉っている。


米国では、当初から課金制度を導入しているウォールストリート・ジャーナル紙など例外はあるものの、ほとんどの新聞社が電子版は無料で提供している。おり しも米国を代表する有力紙「ニューヨーク・タイムズ」が、広告収入の激減や購読者の減少なによる業績不振の回復を念頭に、電子版を有料化に切り替える発表 を行ったばかり。同紙ばかりか、有料化のチャンスをうかがっている他紙の経営判断にも影響を与えそうだ。ちなみに、ニューヨーク・タイムズ紙は、11年初 頭の有料化を目指している。


ニューズデーの親会社で、同地域のケーブルテレビ(CATV)サービスを独占するケーブルビジョンの加入者とニューズデーの購読者には、これまで通り、無 料でアクセス出来るため、有料化の影響を受ける人の数は限定される模様だ。それでも、米調査会社「ニールセン・メディア・オンライン」によれば、09年 12月における同紙電子版のユニークビジター数は、150万件と、同年10月の220万件から大幅な落ち込みを示している。