ニールセンに包囲網か

米国のテレビ視聴率測定市場を独占するニールセンに対抗する動きが広がりそうだ。米CBSネットワークがDVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)メーカー「ティボ」と、そして米調査会社「TNSメディア・リサーチ」が衛星放送最大手「ディレクTV」と相次ぎ視聴率測定に関する事業提携を発表した。いずれもDVRから取得出来るデータを下にした独自の視聴率測定を目指している。

CBSは、ティボ社が加入者から集めたデータを下にした視聴率サービス「ストップ・ウォッチ」のデータを運用、毎秒ごとの視聴状況を吟味する。(ニールセン社が提供するデータは現在1分刻みのもの)。CBSネットワークのリサーチ部門担当責任者ディービッド・ポルタック氏は業界誌「メディアウィーク」に、「米テレビ視聴者の間で自宅のエンタテイメント・システムにDVRを組み込む世帯が急増している。生活者がデジタル視聴に移行している証拠だ。ネットワークもこうした新しいテレビ視聴習慣を正しく把握することが求められている。それは広告主の要望にも沿ったものだ」と述べている。

また、TNSメディア・リサーチは、ディレクTVが加入者に提供しているDVR内蔵型のセット・トップ・ボックス(STB)から吸い上げることの出来る視聴データをもとに、生活者の新しいテレビ視聴パターンを検証したい考えだ。サンプル数は10万軒程度になるという。

広告主側は、両社のデータが揃えばCM視聴率の詳しい分析結果が得られるものと期待を寄せている模様だ。米広告会社大手「スターコム・ワールドワイド」の上級副社長トレイシー・シェッパク氏は、「700億㌦規模の広告市場が12,000世帯の視聴率データ(ニールセン)によって左右し続けられている。新たな視聴率動向を探る努力をしなければならない」と述べ、ニールセン一辺倒を見直すべきだとの立場を鮮明にしている。