ネットワークDVRは著作権侵害にあたらず


米連邦控訴裁はこのほど、米ケーブルテレビ(CATV)事業者が開発した通称「ネットワークDVR」サービスの展開が著作権の侵害にあたるとした連邦地裁の判断を無効と判断した。ニューヨーク市近郊の大手CATV「ケーブルビジョン」が開発したネットワークDVRとは、同社が全テレビ番組を社内に設置・運営するサーバーに蓄積。これに、加入者がリモコンを使ってアクセス、好きなときに好きな番組を視聴することを可能にするもの。ケーブルビジョンは2006年3月に同サービス立ち上げる計画だった。

ところが、これに対し、ABCテレビなど米ネットワークや20世紀フォックスなど映画・テレビ製作会社が一斉に反発。無許可の再送信や番組コピーにつながり、コンテンツの著作権を侵害することになるとして同社を相手どって連邦地裁に訴えた。同裁判所は2007年3月に、メディア企業の言い分を認め、ケーブルビジョンに対し同サービス展開を禁止する命令を下した。しかし、ケーブルビジョン側はこれを不服として直ちに上訴。今回、連邦控訴裁が「著作権の侵害にはあたらない」と、逆転判決を下した。ケーブルビジョンは、「これで、加入者はDVR機器を購入せずにDVR機能を楽しむことが出来る。消費者にとって大きな勝利だ」と控訴裁の判決を歓迎している。メディア企業側は最高裁に上告するかどうか検討中。 米調査会社「サンフォード・バーンスタイン」は、「全CATV会社がネットワークDVRを採用すれば、米テレビ世帯におけるDVRの普及率が一挙に60%を超えることになり、そうなればCM飛ばし視聴率が一挙に増大する。既存のCMのあり方が根底から覆されることになり、米メディア界に地殻変動を起こすことになる」と予想している。