モバイル・ビデオ視聴が急増中

 米国で携帯電話を使った動画視聴が急増している。ニューヨーク・タイムズ紙がこのほど特集記事で報じたもので、これまで携帯電話などを使った動画視聴といえば、空港ロビーでの待機中や、学校の休憩時間などに、テレビ番組や映画のハイライト版を垣間見る利用方法が主流と捉えられていた。しかし、小さな画面ながらも携帯電話でテレビ番組や映画を全編視聴する人が少なくないことがわかった。


米メディア企業NBCユニバーサルのデジタル・エンターテイメント部門の責任者ビビ・ジグラー社長によれば、携帯電話からアクセスできる同社のビデオ・サイトNBC.comのトラフィックを調べたところ、ユーザーの6割が自宅で視聴していることも明らかになった。ジグラー社長はニューヨーク・タイムズ紙に、「素晴らしい画像が楽しめるプラズマテレビなどを横目に、携帯電話の画面を見つめている人がこれほど多いとは想像もしていなかった。驚くべき結果だ」と感想を述べている。


ただ、米調査会社ニールセンによれば、09年10-12月期におけるアップル社のアイフォンや動画視聴機能が内蔵されたスマートフォン(多機能型携帯電話)などで動画を視聴した人は1760万人と前年同期の1120万人と比べ約57%と急増しているものの、パソコンなどを使った動画視聴に比べ利用者はまだまだ少数派。平均視聴時間も月間3時間37分と、テレビ視聴時間の153時間に比べ、取るに足りない時間だ。


しかし、テレビ局やハリウッドではモバイル(携帯電話)視聴が今後増え続けると見ている。今のところ有料モデルは人気がないが、人気が増大すれば消費者の心に変化が生じると考えるプロバイダーも多いようだ。米巨大メディア企業ニューズ・コーポレーションのFoxモバイル・グループは今年中にモバイル番組配信サービス「Bitbop」の展開を予定。月額9.99㌦(約950円)の有料サービスになるという。