ユーチューブがローカルニュースに着眼


米動画共用サイト最大手ユーチューブ(YouTube)がローカルニュースに触手を伸ばしている。同社が今春開設したサイト「News Near You」では、ユーザーの位置を感知し、周辺100マイル(約160km)以内の地域のローカル情報をリストアップし、過去1週間分のニュース画像を提供するサービスを始めている。


毎月1億人以上が閲覧すると言われている圧倒的な人気を博しているユーチューブだが、悩みはその絶大な人気を黒字経営に転換できないこと。投稿される画像のほとんどが著作権のクリアがされておらず、収入源となる動画CMなどを挿入できないためだ。


そこで、ユーチューブが注目したのがローカル情報画像。ローカルテレビ局などに「News Near You」への参加を呼びかけ、本格的な広告収入につなげたい考えだ。CM収入は画像提供者と折半する仕組みだ。今のところ、200あまりのパートナーが契約したが、いずれも個人あるいはラジオ局や新聞社、さらには大学などで占められている。中には米連邦通信委員会(FCC)の認可が得られないテレビ局開設希望者が利用する例もあるようだ。


ユーチューブは、同サービスを利用すれば、番組宣伝効果が上がることも強調している。ABCニュースやCBSニュースなどが番組の一部を提供しているが、顕著な副収入につながらないと考えるローカル局は参加を躊躇しているという。「ユーチューブに乗っ取られる」ことを恐れる局がコンテンツの提供を控える傾向もあるようだ。


最近では、イラン国内で大統領選挙後に起きた市民抗議デモの映像が大量に投稿され注目された例もあり、ユーチューブの狙いとは裏腹に、市民ジャーナリストの投稿サイトに特化してしまう可能性もありそうだ。