HDテレビ世帯急増もHD視聴率は低迷


 米国では薄型カラーテレビの普及が急増中。高精細度テレビ(HDTV)放送受信 可能世帯も全体の56%に達し、「過去20年間で家庭内に最も早いスピードで取り入れられたエンターテイメント・テクノロジー」(米調査会社ニールセン) などと捉えられている。しかし、対応型テレビの普及速度とは裏腹に、実際にHD映像を視聴している人は全体の20%以下に留まっていることが明らかになっ た。


ニールセンがこのほど発表したところによれば、地上波テレビ放送をHD方式で視聴している世帯は19%、ケーブル局が提供するHD番組を視聴している世帯 は13%に留まっており、HDテレビを所有するもののいまだに約8割の人がSD(標準画質映像)で番組を見ていることが明らかになった。


ケーブルテレビ(CATV)事業者や衛星放送事業者が提供する再送信サービスに加入する世帯がHDTV受信用のセット・トップ・ボックス(STB)に変更 していないことなどが主な理由で、中にはHD対応の薄型テレビはDVDを接続して映画視聴などにあて、テレビ番組は別室の旧型テレビなどで視聴している世 帯も少なくないという。


一方、HD番組専門のケーブル局も増えているが、視聴者の中で一番人気のあるのがスポーツ専門局で全体の21%、これにエンターテイメント専門局16%、 ニュース専門局15%などと続き、子供専門局のHDチャンネルはわずか2%と低迷している。


また、HD番組ファンは、18~34歳層に集中しているほか、アジア系住民では白人世帯(60%弱)をおさえ、三分の二の世帯でHD放送受信体制が整って いるが、黒人系では約50%に留まっており、人種別に普及率が違うことも浮き彫りになった。ちなみに、米国では2009年6月に完全デジタル化が終了して いる。