人気動画配信サイトが課金制度導入か


 人気動画配信サイト「Hulu(フールー)」の有料化が現実味を帯びてきた。4月22日付けのロサンゼルス・タイムス紙によると、これまでネットワークテレビなどの人気番組を無料配信してきたフールーが、来る5月24日をもって有料化に踏み切る案が浮上しているという。フールー側は一切コメントをさけており詳細は明らかになっていないが、同紙によれば、フールーは、最新番組5本を無料提供するが、それ以外の番組視聴には、月額9.95㌦(約945円)で提供する新サービス「Hulu Plus」への加入が必要となるという。


フールーは、創設2年の新興サイトだが、ネットワークテレビがプライムタイムで放送する看板番組などが翌日には全編無料で視聴できることから、「見逃し視聴に最適」などと瞬く間に人気が沸騰。現在は動画共用サイト、ユーチューブに次ぐ人気動画配信サイトにのし上っている。大学寮などで生活する学生の間では、フールーの登場でパソコンをテレビがわりに利用する人も急増している。


番組中に数分間に限定し挿入する動画CMが収入源だが、いまでは売上高が1億㌦(約95億円)以上に達するまでに成長している。フールー運営責任者からは、有料化に踏み切れば若者を中心としたユーザーに背を向けられてしまうとの危機感が示されていたが、有料化案の背景には、本格的な収益を上げるビジネス・モデルへの脱皮を求める同サイトの共同出資社、ニューズ・コーポレーション、NBCユニバーサル、ウォルト・ディズニーの存在がある。


ただ、今回の有料化案にはすでに、「無料で視聴できるテレビ番組に年間約120㌦もの課金をすれば、ユーザーから相当な反発が出るのは必至。また、フールーは売上高の30~55%程度を番組提供社に分配しなければならず、有料化に伴う顧客サービスなど、サイト運営費を捻出するのが厳しい状況に陥るのではないか」(ウォールストリート・ジャーナル紙)などと、悲観的な見方が出ている。米調査会社ライクマン・リサーチ・グループがこのほど実施した調査では、フールーの課金制度導入には81%が反対。容認派はわずか5%に留まっている。