米NBC、パイロット番組廃止へ


米NBCネットワークが新番組のパイロット版制作の廃止を検討していることがこのほど明らかになった。NBCネットワークを傘下に置く米メディア企業「NBCユニバーサル(NBCU)」の最高経営責任者(CEO)ジェフ・ザッカー氏が、NBCUの従業員16,000人に向けたビデオ会見の中で明らかにしたもので、同氏によると同案により年間約5,000万㌦(約55億円)の節約が可能になるという。

米ネットワークは、昨年11月以来続いている米脚本家組合(WGA)のストライキの影響で、少なからぬ経済的影響を受けており、各社は経費削減に迫られている。ザッカー会長が打ち出したパイロット番組制作廃止案もその一環。さらにザッカー氏は会見の中で、「米国経済がリセッション入りしていることは確か。我々のビジネスもそのような状態に即した運営が求められている」と説明した。NBCはここ数年、視聴率低下傾向に歯止めがかからない状態で、そんな企業情勢も影響している模様だ。

新番組のパイロット版制作は、より多くのスポンサーを引き付ける上で、各ネットワークにとって極めて重要なプロセス。しかし、高額な制作費がネットワークの予算を圧迫している模様だ。米有力紙ニューヨークタイムズ紙によると、1時間番組の制作コストが3年前には約300万㌦(約3億3,000万円)だったものが、現在では700万㌦(約7億7,000万円)にまで高騰している。しかも、相当数のパイロット版を制作しても、新シーズン放送にこぎつけるのはそのうち少数に限られるという。

ただ、ザッカー会長は、「今後すべてのパイロット版制作を廃止するわけではない。」と述べており、目玉番組などのパイロット版制作は限定的に継続されるようだ。他ネットワークは引き続きパイロット版の制作を続ける模様だ。