米最高裁が新DVRにゴーサイン


米連邦最高裁は6月29日、ネットワークテレビや番組制作会社などが、ケーブルテレビ(CATV)会社が展開しようとしていた次世代DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)サービスが著作権侵害に当たるとして提訴していた問題を審理しないことを明らかにした。事実上、新サービスを認める判断を下したことになり波紋が広がっている。


この次世代DVRサービスは、ニューヨーク近郊のCATV大手「ケーブルテレビジョン」が2006年に発表したもので、同社本社内のメイン・サーバーにテレビ局が放送する番組すべてを録画し、加入者が好きな時に好きな番組を選んで視聴できるというもの。ケーブルビジョンではメイン・サーバーに一括録画すれば、CATV側が加入者に提供するセット・トップ・ボックス(STB)にDVRを組み込む費用が節約できるほか、加入料の軽減にもつながると主張していた。


ところが、ネットワークテレビを傘下に置くメディア企業やCNNなどを含むケーブル局が新サービスは、使用許諾なしに違法コピーする行為に等しいなどと一斉に反発、ケーブルビジョンを相手取り新サービスの差止めを求めて提訴した。第1審は新サービスが著作権侵害に当たるとしてケーブルビジョン側に新サービス展開を止めるよう言い渡したが、連邦控訴裁は昨夏、「通常の録画機との違いはほとんどない」などと、連邦地裁の判断を覆しケーブルビジョンに有利な判決を下していた。

最高裁の判断については、「ネットワークにとって大打撃。これでDVRの普及に一段と弾みがつくことになる」(ニューヨーク・タイムズ紙)。「ケーブルビジョンばかりかCATV事業者全体にとって大勝利となった」(ウォールストリート・ジャーナル紙)などと米メディアが一斉に報道した。米調査会社マグナ・グローブによれば、現在のDVR普及率は28%ほどだが、2014年までに42%に急増する可能性につながるとしている。DVR利用に関しては、CM飛ばし視聴を助長するとしてテレビ局などが警戒心を深めている。