NBCユニバーサル経営権がコムキャストに


米メディア企業大手NBCユニバーサル(NBCU)の経営支配権が、世界最大の複合企業GE(ゼネラル・エレクトリック)から米最大のケーブルテレビ(CATV)事業者コムキャストに移ることになった。コムキャストとGEが12月3日、ニューヨークで発表した。コムキャスト・NBCU両社の単純合算した昨年度売上高は、合計約460億㌦(アドバタイジング・エイジ誌)に達し、タイムワーナーやウォルト・ディズニー社を上回る世界最大級のメディア複合企業が誕生することになる。


NBCユニバーサルは、GEが80%、仏メディア・通信企業ビバンディが20%をそれぞれ出資する合弁会社。GEがビバンディの持ち株を58億㌦(約5220億円)でいったん買い取った後、コムキャストに株式の51%を売却する。GEは残りの49%を保有し、コムキャストと新合弁会社を設立することになる。GEとコムキャストは、NBCUの企業価値を300億㌦とすることで合意している。将来的には、コムキャストが全株を取得し、単独のオーナー会社になる模様だ。


今回の大型買収劇は、金融部門の不振などで負債を抱えるGE、通信部門に新たな進出を図りたいビバンディ、コンテンツ・プロバイダーへの脱却を図りたいコムキャスト、3者の思惑が一致した形で成立した。


NBCUは傘下にNBCネットワークテレビ、USAネットワークをはじめとする数多くの優良ケーブル局、さらには映画会社やテーマパークなどを傘下に置く巨大なメディア企業だが、コムキャストの主眼は、NBCネットワークよりも、NBCUが持つ「USAネットワーク」や「サイファイ・チャンネル」さらにはビジネス専門「CNBC」など業界でもトップクラスのケーブル専門局の取得におかれているという。そんなことから、米ネットワークテレビの将来を見限った、象徴的な動きとして捕らえる向きもある。


一方、コムキャストが豊富なテレビ番組や映画などを入手すれば、他ケーブル局などを排除する可能性や、様々なコンテンツの有料化に拍車がかかる可能性を指摘する声もあがっており、消費者団体などからは合併に否定的な声も上がっている。新合弁会社の設立には、連邦政府当局の承認が必要だが、審査には少なくとも1~1年半の期間がかかるという。