CNNのP帯視聴者数、過去10年で最低


 視聴率不振にあえぐ米CNNテレビの今年8月におけるプライムタイム(午後8-11時)の視聴者数が10年来最悪を記録した。米ニールセン社によれば、同月のプライムタイム世帯視聴者数は平均48万6000人。広告主が報道番組で重要視する25~54歳層の平均視聴者数は14万4000人と2000年5月以来最悪の数字となった。また、これまで比較的好調だった全日の平均視聴者数も38万1000人と、昨年8月以来最低を記録した。


プライムタイムで放送されている番組が軒並み不調で、特にCNNの看板番組「ラリー・キング・ライブ」(米東部時間午後9-10時)の不振が際立っている。同番組の25~54歳層の視聴者数は14万9000人と2000年5月以来最悪となったばかりか、世帯視聴者数54万5000人は1991年以来最悪を記録した。昨年同月と比べても両層の視聴者数が50%もの減少となっている。同番組司会者のラリー・キング氏は今秋かぎりで降板することを表明している。


同番組の前に放送されている「Rick’s List(リックのリスト)」(米東部時間午後8-9時)も、世帯視聴者数45万2000人、25~54歳層の視聴者数12万7000人と、両層とも前年同月比41%減。午後10時から放送されている「アンダーソン・クーパー360」も世帯視聴者数が55万9000人と前年同月比35%減、25~54歳層17万2000人は34%減少となった。


ニュース専門局3社の中では保守的報道で知られるFoxニュース・チャンネル(FNC)が相変わらず揺ぎ無いトップの座を守っているが、CNNの不振を尻目に2008年以前は万年3位だったMSNBCの躍進ぶりが続いている。MSNBCの今年8月における全日の25~54歳層視聴者数は14万3000人と、CNN(同11万7000人)に対し2ヶ月連続、今年5度目となる勝利を収めた。


こんな状況を受け、メディア・サイト「TVbytheNumbers」には、「(CNNの創設者)テッド・ターナー氏に戻ってきてもらい、ニュース報道主体の原点に戻るべきだ」などと、CNN活性化に関する視聴者からの意見が寄せられている。コロンビア大学ジャーナリズム学科のリチャード・ウォルド教授はテレビ朝日アメリカに、「CNNには突発事故や事件を待つ余裕はもはや無い。平常時のCNN編成の明確化、そしてもう少し魅力的な出演者を揃えることも必要だ」と述べている。