【トランプ政権を動かす大富豪――データ・サイエンスの政治学】

恒例の経済誌”Forbes”の2017年版資産者ランキングが発表され、米国のトランプ大統領が、2016年の336位から544位へと大きく順位を下げたことが伝えられた。
 いま、アメリカのメディアでは、そのトランプ政権誕生を支えた「影の大富豪」とその活動が話題になっている。極端なメディア嫌いとして知られる投資家ロバート・マーサー氏Robert Mercerの活動だ。
 マーサー氏は1946年生まれで、コンピュータ・サイエンスを専攻し、IBMで現在のAI(人工頭脳)につながる、「革命的」と言われた言語プロセッシングを開発した。その後、金融マーケットで独自のアルゴリズムalgorithmを駆使してトレードを展開するヘッジファンド〈ルネサンス・テクノロジーズ Renaissance Technologies〉の共同CEOとなった後、ウォールストリートで最も成功しているファンドと呼ばれる〈メダリオンMedallion〉を設立した投資家だ。その運用額は550億ドル(約6兆1600億円)を超えると推定されている。

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【米国デジタル広告市場、2017年は前年比16%の伸びを予想】

eMarketerの調査(3月14日)によると、2017年の米国でのデジタル広告市場は前年比16%増、総額で830億ドル(約9兆2960億円)に上る見込みだ。デジタル広告市場を牽引するのは今年も検索広告(search  AD)マーケットの巨人Googleと、display、mobileマーケットを席巻するFacebookで、Googleは前年比15%、Facebookは32%の広告収入増を予想しており、米国内デジタルマーケットでのGoogleのシェアは40.7%で、Facebookのシェアは19.7%に伸びるとみている。
 Facebookはdisplay Adの分野では全米の39%とトップのシェアを誇るが、今後record 、live双方のVideo contentsに注力することによってさらにユーザーを増やすとみられている。
 注目されているのは、mobile displayを唯一の広告ビジネスとしているSnapchatで、2017年の広告収入見込みは前年比158%の7億7000万ドル(約862億円)。2年後の2019年にはおよそ3倍の22億ドル(約2464億円)が見込まれている。

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【スポーツ権料はTVとFacebook、Googleの戦いになる――

CBSをNetworkの視聴率トップに押し上げたレス・ムンベス会長兼CEOが、米国スポーツ・イベントの要であるNFL (National Football League) について次のように発言して注目を集めている。
「次の権料をめぐる戦いはネットワークと、GoogleやFacebookのような企業との間での戦いになるだろう」。
 これは3月7日に行われた“Deutsch Bank 2017 Media & Telecom Comference”でのスピーチで、CBSはNFLの放送権を2022年まで保持しており、この発言は2022年を見越した発言だ。そしてレス・ムンベス会長はこう続けている。「キャッシュの潤沢なデジタル各社との戦いは避けがたいが、NFLはテレビの側に残り続けるだろう。……デジタル技術の巨人たちはNFLに参加したがっている。NFLはテレビの最高のコンテンツだからだ。われわれは巨大な取引に果敢に進んでいくが、デジタル企業も参入しようとするだろう。しかし、NFLはいまでも放送という聖なる舞台を信じてくれていると思う。

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【テレビ保有世帯の8割がDVR, Netflix,またはVODを利用】

米国のテレビ保有世帯の82%がDVR、Netflix、あるいはVODを利用し、このうち2つを利用している世帯は30%、3つすべてを利用している世帯は14%にのぼることがLeichman Research Group, Inc.の調査でわかった。
 これは全米1211世帯の調査によるもので、64%がNetflixかAmazon Prime、あるいはHuluのSVODに加入しており、53%が月極利用者だ。Netflixの加入率は54%(2011年には28%)、DVR利用者は53%(同44%)で、Netflix加入者がDVR利用者を初めてうわまわった。
 On-DemandやDVR、VOD、Netflixのようなタイムシフトはテレビ視聴の形を大きく変化させてきたが、米国のテレビ保有世帯の半数がDVRを保有し、半数がNetflixに加入していることになる。興味深いのが、DVRやNetflixを見ながらも、テレビで何をやっているかを見るために、スイッチをしばしばテレビに合わせるとした回答が46%にのぼることで、タイムシフト視聴に拍車がかかっていることは確かだが、テレビ番組への関心は保ち続けている

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【ニールセン、Total Content Ratingをスタート――多角的な視聴データをめぐって】

米国の視聴データ調査会社ニールセンNielsenは、1年半ほど前にデジタルデバイスを含む多角的な視聴データ調査をスタートさせると発表していたが、いよいよ3月1日から、Total Content Rating (TCR)がスタートした。
 現状ではニールセンの視聴データ調査方法は約4万8千世帯にアタッチメントを設置し、Degital viewのデータも含めて収集すると同時に、昔ながらの日記方式による200万件を超える全米調査を行っている(日誌形式は来年早々に機械式調査となる予定)。
今回導入が始まったTCRは広範なデータ収集プラットフォームだ。TV視聴率とTVデジタル視聴率(PCあるいはスマホで、TVと同じCMがついた同一コンテンツの視聴)に加え、VODコンテンツ視聴率(VODサービスのサブスクリプションを含むTVでのVODコンテンツ視聴。広告はリニアとは別、あるいはno ad)にDigital Content 視聴率(さまざまなデジタル・プラットフォームで視聴されたリニアとは広告の異なるコンテンツ、あるいはno ad)を加えた数字をトータルに収集・公開していこうというものだ。

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【FCCの新方針は?――カギ握る「ネット中立性」】

テレコミュニケーション、メディア、テクノロジー(TMT)の世界でのマーケットは、現在およそ11兆ドル(約1232兆円)とされ(The Hill、2月8日付)、経済雑誌Fortuneが発表した「世界の500社」には、TMT分野だけでも米国をベースとする企業は25社を数える。そこにはAppleやMicrosoftなどITの巨人のほかに、AT&T、Verizon、Comcast、Viacomなどの通信大手、それにDisney、21st Century Fox、CBS、NewsCorp、Time Warnerなどの総合メディア企業が名を連ねている。
米国経済の成長分野を担うTMTの将来を左右するのが、テレビ、通信、インターネット事業の規制・監督をおこなう連邦通信委員会(以下FCC = Federl Communication commission)の政策だ。トランプ政権が指名した新しい委員長の下、FCCが活発な規制の見直しに乗りだそうとしている。
 

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【今年のスーパーボウル、TV視聴数は1億1130万人―-史上4位】

1月5日(日)、第51回スーパーボウルが開催された。スーパーボウル史上初の延長戦となり、最後は劇的なタッチダウンでニューイングランド・ペイトリオッツが逆転勝ちした。ハーフタイムにはレディー・ガガのダイナミックなパフォーマンスが、全米最大のスポーツイベントを彩った。放送権を持つFOXが独占放送し、テレビ放送の世帯視聴率は48.8%(シェア72%)、視聴数は1億1130万で、史上4位だった。FOX Sports Goのアプリ経由のlive-streamingでの視聴数は172万、スペイン語放送のFOX Deportesの視聴数65万を合わせた1億1370万視聴だと史上2位になる。テレビ放送の48.8%という視聴率は昨年のCBSの49%にはわずかに届かなかったが、FOXとしては過去最高の視聴率で、今年もライブ・スポーツイベントの強さを見せつけた大会となった。調査会社iSpotによれば、FOXのスーパーボウル総広告収入は5億960万ドル(約570億円)に及ぶという。

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【ロイター通信のトランプ取材法】

ニュース取材と通信の世界的な老舗、ロイター通信Reutersが、「ロイターのトランプ取材方法 (Covering Trump the Reuter Way)」という告知をスティーブ・アドラー (Steve Adler) 編集主幹名で1月31日に出した。こういった「取材原則」を告知するのも珍しいが、対象に「トランプ大統領」という個人名を入れることは、さらに珍しい。それだけトランプ新政権の前例のないスタートダッシュと無手勝流の情報戦にメディアが当惑している証拠でもある。
言うまでもなくロイター通信は、相場情報を電信で伝えるために1851年に創設された、フランスのアヴァス通信、ドイツのヴォルフ通信とともに、世界でも老舗の通信社だ。2007年にカナダのトムソン社に買収され、トムソン・ロイターとなったが、ニュース部門はいまでもReutersの看板で通っている。
アドラー編集主幹の告知はこう始まる。
「トランプ政権の最初の12日間は(そう、たった12日だ!)、記憶に残るものだ――ニュースビジネスのわれわれにとっては挑戦的だった」
そのうえで自問する。

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【Fox、スーパーボウルのデジタルCMを加盟局に開放】

1月20日は米国第45代トランプ大統領の就任式だが、就任式をめぐるメディアの状況は次回に譲るとして、今回は間近に迫った全米スポーツイベントの頂点、NFL(米プロフットボール・リーグ)主催の第51回スーパーボウルの動きについて報告する。
昨年のスーパーボウルはCBSが放送し、1億1190万の視聴数を獲得した。米東部時間午後6時半からの全国向け生中継の平均視聴率は49%で、スーパーボウル史上2番目の高さで、「重要視聴者層」(18歳から49歳)の視聴率も34.1%と広告主の期待に応えるものだった。30秒スポットCMの平均的な料金は480万ドル(約5億5200万円)で、500万ドル(約5億7500万円)を超えた枠もあったと言われており、1秒当たりの広告料は16万6千ドル(約1900万円)になる。試合の前後を含めるとスーパーボウル全体で4億4500万ドル(約511億7000万円)の収入を上げた。
今年のスーパーボウルは2月5日、テキサス州ヒューストンのNRGスタジアムで開催される予定で、放送権はFOXが握っている。

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【年末年始のトランプ流発信術――イスラエル問題からCIAまでTweet!】

トランプ次期大統領の就任まで2週間あまりとなった。年末年始、トランプ氏のTweetをウオッチしていたが、トランプTweetはいよいよ本格的な政策にまで踏み込んできた印象だ。国連安保理で討議されていた、イスラエルの入植禁止決議案について、トランプ氏は2016年12月22日には「拒否権を使うべきだ」とTweetし、オバマ政権が「拒否権」を使わず、棄権にまわってイスラエル現政権に「ノー」を突きつけると、23日には「国連は1月20日以降、違ったものになる」と宣言した。そして「イスラエルよ、頑張れ!」とネタニヤフ首相にエールを送った。
イスラエルのネタニヤフ首相も早速「トランプ次期大統領、あなたの暖かい友情とイスラエルへの明快な支持に感謝する」というTweetをトランプ氏に返している。
アメリカとイスラエルの首脳がTwitterで見解を公表し、エールを交換し合うもの初めて見る光景だが、トランプ政権下では、こういった首脳間の意見のやり取りが、国務省やホワイトハウスを通さずにTwitter上で行われるようになるのかもしれない。

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【Twitter大統領トランプ――取材方法の大混乱!?】

ドナルド・トランプ次期大統領がホワイトハウスに入るまで50日を切った。そのホワイトハウスの記者証を持つ者は、内外の記者約750人。その中でも、ブリーフィングルームに入れる者は49人だ。AP、ABC、NBC、CBS、CNN、Fox Newsのホワイトハウス・プレス記者が最前列に座り。そのすぐ右後ろに座るのがThe Wall Street Journal、The New York Times、The Washington Postなどの記者――このアメリカの伝統的なメディアの根っこそのものが大きく揺らいでいる。
まず、トランプ氏は、7月以来、記者会見を一度も開いていない。当選後の勝利会見もなかった。テレビ・新聞を遠ざけるそのスタイルは選挙中と変わらず、当選後、家族と食事に出かける際にはホワイトハウス・プレス団に一言も告げず、プレス団は猛抗議したが、何の対応も見られなかった。
では主な発信場所はどこか。140字Twitterでの一方的な発言だ。その回数は当選後24日間で96回、そのフォロワーは1650万人に上る。

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【トランプ候補当選の大番狂わせ――メディアの当落予想に大批判】

米国大統領選挙は、共和党のトランプ候補が勝利し、世界中に驚愕が広がっている。しかし、ウォール街は、減税を主張するトランプ候補の当選に冷静だ。その中で批判の集中砲火を浴びているのが、テレビ、新聞などの大手メディアだ。
ほとんどのテレビ、新聞がヒラリー・クリントン候補有利と報じ、ことにFBIが新たなメール疑惑についてクリントン候補を「訴追せず」と発表した6日以降の最終盤には、「ヒラリー候補、強し」と報じられてきた。世論調査に頼りきったヒラリー優勢の予想を、投票所が閉まっても流し続けたメディアへの信頼は、大きく揺らいでいる。   
たとえば、ある読者は「あなたたちは長い間間違えていた。あなたたちは読者をミスリードし、あなたがた自身のジャーナリスト的な偏見によって盲目となっていた」という投書をThe New York Timesに寄せ、9日には「ヒラリーのさまざまな政策ではなくトランプの突飛な行動をカバーし続けたメディアに感謝するよ。視聴率、視聴率、視聴率、大事なものはそれだけなんだ」という投書が載っている。

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【AT&T、タイム・ワーナーを買収!――巨大コングロマリットは誕生するか?】

経済情報専門のブルームバーグがAT&TとTime Warnerの交渉を伝えたのが10月20日(木)午後。「週末にも結論か」という内容だったが、22日(土)には合併を公表した。Time Warnerについてはこれまでも他社との間で買収の話が出ては立ち消えになっていたが、今回、両社は8月から水面下で話を進め、比較的順調に合意に至ったようだ。
2011年に通信大手ComcastがNBCUniversalを300億ドルで買収し、同じく通信大手VerisonがHuffington PostとYahooを買収するなど(Yahooは現在未決)、通信大手によるコンテンツ産業の買収が続くなかでも、854億ドル(約8兆8800億円)に上る通信大手AT&TのTime Warner買収は大きな衝撃をもって受け止められている。
携帯、ワイヤレス、ブロードバンド、衛星と配信手段のすべてを握り、130年の歴史を誇るtelecommunicationの巨人が、去年衛星放送DirecTVを485億ドルで買収したのに続き、コンテンツ総合企業の巨人を手中に収める行動に出たからだ。

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【既成メディア陰謀論――トランプ陣営最後の武器か?】

10月14日付の“The New York Times”の動画サイトにはシンシナチでのトランプ候補の集会を伝える記者の映像が公開されているが、そこでは一種異様な光景が繰り広げられている(以下のURLを参照http://www.nytimes.com/2016/10/15/us/politics/trump-media-attacks.html)。
集会の会場に入った記者は、15000人の支持者たちから一斉にブーイングを浴びせかけられているのだ。支持者は口々に記者に向かって「クズ!」「下司野郎!」と罵り、「真実を語れ!」と叫んでいる。
 トランプ候補は、『ニューヨーク・タイムズ』、『ワシントン・ポスト』や『ウォールストリート・ジャーナル』などの有力新聞やCNN、NBCなどのテレビ局を「既成メディア」と一括りにしたうえで、「クリントン陣営の最強の武器は、買収されたメディアだ。記者たちはクリントンを勝たせるための陰謀を企てている」とメディアへの憎悪を煽りたてている。「メディアは嘘に嘘と嘘を重ねて有権者の心に毒を塗ろうとしている」というのだ。

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【トランプ女性蔑視発言とスクープの背景――ワシントン・ポストとNBC】

米国大統領選挙まで1か月を切った。共和党のトランプ大統領候補の女性蔑視発言テープが公表され、支持率を落としている。発言そのものは11年前の2005年、ワイドショーのロケバス内で。番組のキャスター、ビリー・ブッシュ(息子ブッシュ大統領の従弟)との会話の中で出てきたものだ。
 ニュースでしばしば引用される’And when you're a star, they let you do it. You can do anything.’という一節だけでなく、トランプ候補のもっと長い会話の内容そのものが批判の対象となっている。
 この映像と音声は、『ワシントン・ポスト』紙のスクープとされている。10月9日(日)の第2回大統領候補討論会の直前である7日(金)の昼に『ワシントン・ポスト』がネットに動画とともに音声を公開した。しかし、このロケバスの番組”Access Hollywood”の放送局NBCが、実はその4日前にこの素材を見つけ出していたことがわかっている。

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【ViacomとCBS、再統合の動き――巨大メディア企業の再登場か】

米3大ネットワークのひとつCBSネットワーク(以下CBS)が、メディア企業Viacomと再統合するのではないか、との観測が流れている。両社はもともとViacomというひとつの巨大メディア企業だったが、2006年、TVネットワークやラジオを含むCBSコーポレーションと、ケーブルTVやパラマウント映画などを傘下に置くViacomの2社に分離した。分離した当時は、若者向け音楽専門局MTVやComedy Central、そしてハリウッドの老舗映画会社パラマウントを擁するViacomの方が「オールド・メディア」と揶揄されるCBSよりも将来性が期待されていた。
創業者サムナー・レッドストン氏(93)のカリスマ性のもとで発展してきたViacomだったが、1998年にレスリー・ムンベス氏がCBSネットワークの社長兼CEOに就任すると、ムンベス氏は巧みな編成戦略で、CBSを3大ネットワークの最下位から「アメリカで最もよく見られているネットワーク」へと引き上げた。さらに、ムンベス氏は番組放送後1週間のCM視聴率(C7)を勘案しながらCM料金を設定する提案を広告主に積極的に行った経営者でもある

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【ディベート史上最高のTV視聴数――ネットも参戦で激戦に】

すでに伝えられているように9月26日の米国大統領候補第1回ディベートは、視聴数8400万というディベート史上最高の視聴数となった。昨年の米プロフットボールリーグ(NFL)の頂点、スーパーボウルの1億1440万に次ぐ視聴数だ。
 TV各局の視聴数は以下のようになっている。
NBC 1820万
ABC 1350万
CBS 1210万
FOX NEWS 1140万
CNN 990万
FOX broadcast network 550万
MSNBC 490万
一方、今回のディベートでも注目すべきは、この4年の間に進歩を遂げたデジタル・メディアの活動だ。FacebookはSocial mediaでは唯一、第1回と第3回の討論会のスポンサーとなるなど、ディベートに力を入れているが、Facebook Live Videoのアクセス数は5500万にのぼり、三大ネットワークを足した視聴数を超えている。
今回のディベートでは、2012年の前回に比べて、TVとデジタル・メディアとの協力が一段と進んだ環境だったことは強調しておかなければならない。

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【大統領候補の一騎打ち!――Presidential Debateの広告は?】

9月26日(月)米国東海岸時間の21時(日本時間27日10時)、いよいよ、民主党ヒラリー・クリントン、共和党ドナルド・トランプ両大統領候補の一騎打ち、Presidential Debate が始まる。第1回の26日は、NBCの看板ニュース番組"NBC Nightly News”のアンカーマン、レスター・ホルト(Lester Holt)が進行役を務める。今のところ設定されているテーマは「アメリカはどこへ向かうか」「繁栄をいかにもたらすか」「アメリカをどう守るか」の3点だ。討論時間は90分で15分単位を六つのセグメントに分けてそれぞれのテーマを話し合う。前回2012年のオバマ対ロムニーのディベートでは6700万人がチャンネルを合わせたという、7月の党大会に続く最大の政治イベントだ。映像はすべてのネットワークを通じて全米に生中継され、90分間CMは一切入らない。
 トランプ陣営は、いま大手メディアと一触即発の関係にある。

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【デジタル広告費がTV広告費を抜く!――今年末予想】

オンライン・リサーチ会社”eMarketer”(9月13日付)によれば、米国では今年末、年間のデジタル広告費が初めてTV広告費をうわまわることが明らかになった。3月時点では、「来年逆転」と予想していた”eMaeketer”dだが、デジタル広告費の伸びが予想以上だったとしている。
今年12月末までの年間予測値は、デジタル広告費が720億9000万ドル(約7兆2090億円)で、TV広告費の712億9000万ドル(約7兆億1290億円)を8億ドルほど上回る見込みだという。米国のメディア広告費全体からみると、デジタル広告費は36.8%、TV広告費は36.4%となり、逆転する。しかし、今年はリオデジャネイロ五輪や大統領選挙でTV広告費も昨年に比べて24億ドル(約2400億円)ほど伸びていて、決して不調だったわけではない。昨年に比べて122億ドル(約1兆2200億円)も増えたデジタル広告収入の伸びが顕著だったわけだ。(下の図は2015年実績と2020年までの米国内のTV広告費とデジタル広告費の推計値)

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【大統領選挙の広告費――ホワイトハウスへの道】

民主党ヒラリー・クリントン候補と共和党ドナルド・トランプ候補の戦いは、支持率拮抗のまま終盤戦へ突入している。「米国大統領選挙はメディアの戦争だ」と言われるように、両陣営はメディア対策に人と知恵とカネをつぎ込んでいる。今回の選挙戦でもチャイナ・マネーやサウジ・マネーがヒラリー・クリントン陣営に流れているのではないか、などの疑惑が取り沙汰されてきている。
支援団体が豊富で、寄付や募金が潤沢なヒラリー・クリントン陣営は8月下旬までに7800万ドル(約78億円)をテレビ広告費に充てていて、11月の選挙当日までにはあと8000万ドル(約80億円)の広告費を使う予定だという。一方、8月19日にようやくテレビ広告を開始したドナルド・トランプ陣営はわずかに480万ドル(約4億8000万円)を充てているにすぎない。8月末の時点ではクリントン陣営のCMは8つの州で放映されているが、トランプ陣営のCMが放映されているのはフロリダ、オハイオ、ペンシルベニア、ノースカロライナの4つの州に過ぎなかった。

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【五輪の総括――Streamingへの道】

NBCが独占放送したリオデジャネイロ五輪は、視聴率競争では2週間連続、トップ10のうちトップ7を占めるなど、他のネットワークを寄せ付けない「一人勝ち」だったが、米国内ではメディアによる総括が盛んに行われ、紙面をにぎわしている。
22日にはNBCSports Groupから「NBCのリオ五輪は史上最も成功したメディアイベントである」と題する公式のプレスリリースが出たので、全貌が知りたい方は、http://nbcsportsgrouppressbox.com/2016/08/22/nbcs-rio-olympics-is-the-most-successful-media-event-in-history/ 
へアクセスを(英文)。
開会式、閉会式を含めた五輪期間プライムタイムのNBCのテレビ平均視聴数は2448万(ロンドン五輪は3030万)で、平均視聴率は14.8%(ロンドン五輪は17.5%)と、視聴数、視聴率では2012年のロンドンより減少する結果となった。

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【視聴率のトップ7――五輪は強し!】

リオ五輪のテレビ視聴数と視聴率が前回のロンドン大会に比べて減少していることが引き続き話題となっている。開幕から10日間の平均視聴数は約2800万で、ロンドン大会から17%下落している(”Los Angeles Times” 8月17日付)。ことに、18歳から34歳のミレニアル世代のテレビ視聴数は30%ダウンしていると言う(”Wall Street Journal” 他)。ここにはミレニアル世代の視聴習慣の変化が顕著に表れていると言えるだろう。
そうは言っても、他局と比べた視聴数の優位は圧倒的で、8月8日から14日までの週のプライムタイム視聴数ベストテンのうち、7位までをNBCの毎晩のオリンピック中継が占めている。視聴数トップは、体操女子団体と競泳男子リレーで米国チームが金メダルをとった8月9日(火)の3340万視聴だ。

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【五輪の視聴者はどこに?――歴史的な低視聴率で始まったリオ】

前回は、NBCの圧倒的な五輪戦略に触れたが、実はリオデジャネイロ五輪は開会式、二日目が歴史的な低視聴率となったことがわかった。
ニールセンによれば、リオ五輪の開会式の米国内の世帯視聴率は速報値13.9%で、1992年のバルセロナ五輪の13.8%に次ぐ24年ぶりの低さで始まった。視聴数は2650万で、これも2004年のアテネ五輪の2540万以来の低調さだった。ちなみに前回2012年のロンドン五輪の開会式の視聴率は21.7%、視聴数は4070万で、開幕前には「視聴者の関心は、ロンドン五輪のときより高い」と自信を持って語っていたNBC幹部の期待を裏切った形となった。競技初日となった現地6日(土)の視聴率も伸びず、NBCのプライムタイムの視聴率は11.4%にとどまり、これも4年前のロンドン五輪二日目の15.8%から大きく落ち込んだ。
NBCのスティーヴ・バークCEOは、投資家向けIRで、「リオ五輪の放送によって1億2000万ドル(約120億円)の利益が期待できる」と語っていただけに、この低視聴率の原因について、各紙誌ではさまざまな分析が行われている。

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【NBCの五輪戦略――テレビを使わずにリオを見る方法は?】

リオデジャネイロから連日、さすがにSports Liveの最高の舞台といえる熱のこもった競技の映像が送られてきている。アメリカでは、オリンピック映像は、Comcastグループの中心的メディア企業NBCユニバーサル(NBCU)の独占だ。NBCUは2011年6月に、2014年のソチ冬季五輪、今回のリオデジャネイロ夏季五輪、2018年のピョンチャン(平昌)冬季五輪、そして2020年の東京夏季五輪の計4大会のアメリカ国内向け独占放送権を、43億8000万ドル(約4420億円)で獲得した。この独占放送権を獲得した時点では、開催地としては18年のピョンチャンも、20年の東京もまだ決まっていなかった。
この7月にニューヨークに来て、初めてアメリカのTVで五輪を見ている新入りのニューヨーカーにとっては、アメリカの五輪放送は驚きの連続だ。
まず、引っ越した最初の日、新たに購入したSmartTVとともにDVR内臓のSTB(セット・トップ・ボックス)が設置される。これはCATVプラス衛星放送の「ペイテレビ」、「高速ブロードバンド通信」、「固定電話」の三つのサービスが「トリプル・プレイ」となっているためだ。地

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【米大統領選――党大会の視聴数の勝敗は?】アメリカ・メディアの現状

今年11月におこなわれる米大統領選挙の候補者を指名する共和・民主両党の党大会が7月末に行われた。最終日に、指名を受けた候補者の演説が行われる、それぞれの党大会は、4年に一度のライブ・ショーでもある。
今年はドナルド・トランプという異色の共和党大統領候補がいただけに、それぞれ4日間にわたる党大会の視聴数が注目されたが、ニールセンによれば以下のようになった。
「共和党大会」
1日目 2200万視聴(FOX News 635万、CNN 394万)
2日目 1900万視聴(FOX News 526万、CNN 306万)
3日目 2340万視聴(FOX News 734万、CNN 350万)
4日目 3200万視聴(FOX News 935万、CNN 548万)
注目されていたトランプ候補だが、受託演説のあった最終日(4日目)の視聴者数は、3200万視聴で、2008年の3840万(マケイン候補)、2012年の3570万人(ロムニー候補)を下回る結果となった。これは、トランプ候補をめぐる共和党内の深刻な分裂が影を落としているためと考えられる。

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