Scripted programsからReal eventsへ――TV制作の傾向

米国のTVネットワークや制作スタジオ、ローカルTV、NetflixやAmazon、Huluなどのインターネット企業が去年一年間に作ったオリジナルのscripted programs(ドラマ、コメディー、台本のある収録ショー番組などのシリーズ)は455作品に達し、これまでの記録となった。しかし今年はscripted programs離れが進むと見られている。
 Netflix、Amazon、Huluなどのインターネット系映像配信企業が今年scripted programsにあてるオリジナル作品制作費と、他社制作作品のライツ購入費は、総額で110億ドル(約1兆2320億円)に上ると予想されている。
 一方、ニールセンの調査によれば、2017年の1-3月期では、TVのオリジナルドラマの平均視聴率は前年比で15%も落ちている。これに対して台本のないリアリティ・ショーは1%アップ、スポーツイベントは6%アップ、ニュースは22%アップとなっている。

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Z世代のデジタル世界――13歳から20歳が手離せないもの

「ミレニアル世代」という言葉は、すでに米国のみならず、メディア状況を語るときには欠かせない年齢層で、広告主の主要なターゲットとなっていることはよく知られている。
 「ミレニアル世代」とは、団塊の世代(ベビーブーマー世代)、ジェネレーションX(1960年代初頭のケネディ政権から1975年のベトナム戦争終結までの時代に生まれた世代)に次ぐ、1980年代前半から2000年代前半に生まれた若者たちで、2015年には米国で人口7500万人を突破し、ベビーブーマー世代に次ぐ重要な購買層となっており、ニールセンは18歳から34歳層を「ミレニアル」と位置付けている。また、この世代はテレビ離れの先駆的な層で、人種的にもヒスパニック、黒人、アジア系が過半数に迫る多様性を見せている。
 そして今、注目を集めているのが、「ミレニアル世代」の後に来る、1996年から2010年頃に生まれた「Z世代」と呼ばれる若者層の動向だ。この世代は、生まれた時にはすでにデジタル環境に囲まれていて、インターネットの急速な発達を空気のように生活に取り込んできた。

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FOX Newsの立役者ロジャー・エイルズの死――TVの保守派文化を作った男

FOX Newsを創設し、4大ネットワークに育て上げた立役者、ロジャー・エイルズRoger Ailes前会長が5月18日、くも膜下出血で77歳の生涯を終えた。エイルズは米国TV界でも際立った個性と戦略をもち、つねに共和党選出の政権と緊密な関係を保ち続けた人物だった。
 1940年にオハイオ州の労働者の家庭に生まれたエイルズは地元のNBC系列のテレビ局でトークショー番組のプロデューサーとしてその経歴をスタートし、ゲストとして出演したリチャード・ニクソンとの出会いが運命を形作っていく。
 1970年1月、すでに共和党選出の大統領となっていたニクソンは、選挙戦の時から助言を受けていたエイルズをメディア補佐官として登用する。1960年にジョン・F・ケネディにテレビ討論で破れて以来、テレビ映りはニクソンにとってトラウマとなっており、カメラの前にどう立ったらいいのか、カメラの前では電話の受話器を右手でとるべきか、左手でとるべきかさえ迷うほどだったという(’The New York Times’, 19 May)。

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今年のアップフロントは182億ドルの商戦――秋の番組販売

米国では毎年5月に、その年の秋からのプライムタイムの新シリーズを広告代理店と広告主に売り込む、TVネットワーク各社にとって1年で最も重要なイベント「アップフロントUpfront」が開かれる。今年も5月15日の週に、マンハッタンのリンカーンセンターやカーネギーホール、ラジオシティ・ミュージックホールなどを使って、「アップフロント」が開かれ、広告各社などに新番組を披露され、CMの予約販売の交渉が行われた。
 今年の「アップフロント」の広告枠の売上予想は182億ドル(約2兆38億円)で、昨年比2%減と見られている。
 それぞれのネットワークが売り込みに必死だが、FOXは来年の復活祭にライブで放送する予定のロックオペラ”Jesus Christ Superstar Live!を前面に押し出す。米国のネットワークではLive musicalがトレンドとなっている中での大型リバイバルだ。

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ディズニーの不安――スポーツ放送の雄ESPNが懸念材料に

米国のエンターテインメント業界の代名詞ともいえるウォルト・ディズニー・カンパニー(Walt Disney Co.、以下ディズニー)の1-3月期の決算が発表された。
 いうまでもなくディズニーは、3大ネットワークのうち、伝統あるABCテレビジョン・グループのほか、米国内で最も充実したスポーツ放送を誇るESPNやディズニーチャンネルDisney Channelを擁する「メディア・ネットワーク」、ディズニー・リゾートを束ねる「パーク&リゾート」、老舗ウォルト・ディズニー・ピクチャーを抱える「スタジオ・エンターテインメント」、そして「コンシューマー・プロダクツ」「インターラクティブ・メディア」などのセグメントを統括する、文字通りの総合メディア企業だ。またFOXやNBCUniversalとともにHuluにも出資している。
5月9日に発表された決算によると、2017年1-3月期の売上(ディズニーは9月締めのため第2四半期にあたる)は133億4000億ドル(約1兆4940億円)に上り、前年比3%の増収となった。純利益は11%増の23億9000万ドル(約2676億円)。

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