ハイチ取材記 画家の目(一)

「Baron Mardi」(火曜の伯爵)2010年1月
「Baron Mardi」(火曜の伯爵)2010年1月

地震の取材中に一人の画家に出会いました。
彼の名前は、シャビエル・ダレンクールさん(28)。
ダレンクールさんが「火曜の男爵」を描き始めたのは

地震発生当日1月12日(火曜日)の夜。
街の惨状を見た後、駆り立てられるように無我夢中で描き始めたそうです。

作品が完成したのは二週間後の1月末。
完成したとたんにマラリアと腸チフス、さらには扁桃腺炎を併発し、

「死に掛けた」と話していました。
ようやく立ち上がれるようになったとはいえ、

取材中も額に脂汗が浮いてきて、少し辛そうでした。

 

 ダレンクールさんの画、「火曜の男爵」は、
ブードゥー教の精霊の一人「サムディ男爵」(土曜の男爵)にも引っ掛けたそうです。
サムディ男爵は墓場の支配者という、いわば死神のような精霊なんだそうです。

シャビエル・ダレンクールさん(撮影:山野孝之)
シャビエル・ダレンクールさん(撮影:山野孝之)

なぜ、描くのか。それも大地震の直後に・・・
もう一人の画家を取材して、画家という人種が少し理解できたような気がしました。

 

 

 

 

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