米Foxが7年連続個人視聴率王

米地上波ネットワークテレビの2010-11年シーズンが5月下旬に終了した。4大ネットワーク(ABCCBSFoxNBC)では、個人視聴率(広告主が重要視する1849歳層)ではFoxネットワークが7年連続で、世帯視聴率ではCBSネットワークが過去9年間で8度目の栄冠に輝いた。

Foxは、米テレビ史上最多視聴者数を獲得したスーパーボウルを含め、米プロフットボール・リーグ(NFL)主催の試合中継番組が高視聴率を獲得したほか、今年で10年目となったオーディション番組「アメリカン・アイドル」が予想以上に健闘したことなどが貢献し、同層におけるシーズン平均視聴率3.5%(ニールセン社速報)を獲得した。

CBSは、犯罪捜査ドラマ「NCIS:ネイビー犯罪捜査班(邦題)」が、姉妹番組である「NCIS:ロサンゼルス編」とともに高い人気を得たほか、これらの番組の元祖である「CIS:科学捜査班(邦題)」が相変わらずの人気だったこと。そしてコメディー番組「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則(邦題)」が若者層をしっかり獲得したことなどが寄与し、シーズン平均世帯視聴者数1160万人(ニールセン社速報)を獲得した。

この2社に続き、ABCが個人視聴率、世帯視聴率ともに3位、NBCは両カテゴリーで最下位に終わった。ABCは、2年目にして米テレビ界を代表するコメディー番組に成長した「モダン・ファミリー」が健闘したが、同社プライムタイム番組の代表番組「デスパレートな妻たち(邦題)」や「グレイズ・アナトミー:恋の解剖学(邦題)」などの長寿番組にかげりが見え始めていることもあり、1849歳層の平均視聴率は2.5%、平均世帯視聴者数は850万人だった。

 

NBCは、NFL中継番組「サンデー・ナイト・フットボール」が大健闘したほか、シーズン後半に投入したオーディション番組「ヴォイス」が予想外のヒット番組となったが、他プライムタイム番組がまったく振るわず最下位(4大ネットワーク中)から浮上することはなかった。平均個人視聴率は2.3%、同世帯視聴者数は700万人だった。

 

特筆すべきは、米テレビ界で番組の成功度を図るバロメーターとして使われている1849歳層の視聴率が、ケーブル局を含むテレビ業界全体で200809年シーズンをピークに下降線をたどっていることだ。ウォールストリート・ジャーナル紙は、「最も重要な視聴者層が侵食され始めている」と警告している。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>