米テレビシーズン(2010~11年シーズン)が終了した5月最終週に放送された各ネットワークテレビ番組の最終回視聴率が記録のラッシュとなった。筆頭に上げられるのがFoxネットワークが5月26日午後8時~10時に放送したオーディション番組「アメリカン・アイドル」。広告主が重要視する個人視聴者層(18~49歳)の視聴率は昨シーズン比12%増となる9.2%、世帯視聴者数も同21%増となる2930万人を獲得、他を寄せ付けない絶対的な強さを発揮した。
同番組は今年で10年目。視聴率に陰りが見えてきたことや、番組人気を支えてきた審判グループの中心人物、サイモン・コウエル氏が降板したこともあって番組の行方を危ぶむ声もあったが、終わってみれば最終回としては5年ぶりの最高視聴率(18~49歳層)を獲得した。決勝戦に残った二人が16歳(女性)、17歳(男性)と番組史上最年少だったことや、二人ともカントリーシンガーだったことなども幅広い視聴者を魅了した要素となったようだ。
そしてABCネットワークが放送した、リアリティー番組「ダンシング・ウィズ・ザ・スター」最終回(5月24日)も予想外の視聴率を獲得した。同番組は、有名タレントがプロの舞踏家とペアーを組み、特訓を重ねた上で難易度の高い ダンスを競うコンテスト番組。今回は前回とは違い目立ったスターが出場しなかったことから放送開始当時は低視聴率でシーズンが終わることが予想されていた。ところが、練習中にフットボール選手とペアを組んだダンサーがあわや首を折る怪我を負いそうになったことや、別なスターがコンテスト中にしりもちをつくなど、数々のハプニングやドラマに恵まれ、こちらも終わってみればこれまで最高となる平均視聴者数2250万人を獲得した。
さらに、プライムタイム番組ではないが、米東部時間午後4時から放送されてきたシンジケート番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」も高記録を樹立した。同番組は25年も続いた長寿トーク番組で今シーズン限りで打切りが決まっていた。今季平均視聴者数は740万人と低迷していたが、全米テレビ市場70%を測定したニールセン社の速報によれば、5月25日の最終回の世帯視聴率は13.3%(視聴者数1800万人)と、17年ぶりの高視聴率を収め有終の美を飾った。同番組は独特の話術とカリスマ性に富んだオプラ・ウィンフリーさん司会のトーク番組。芸能界やスポーツ界はもとより政界の大物などとのインタビューの他、社会問題も大きく取り上げ米市民の日常生活にも少なからぬ影響を与えたとされている。 <テレビ朝日アメリカ 北清>