人気動画配信サイトに新たな火種

若者の間で人気の動画配信サイト「Hulu(フールー)」に新たな動きが出ている。

同サイトは、米メディア業界大手3社(ニューズ・コーポレーション、

NBCユニバーサル、ウォルト・ディズニー)が共同出資する会社だが、                                                     そのうちの一社、ニューズ・コーポレーションがこのほど同社が提供する番組中に

                              挿入するCMの数を大幅に増やしたいとの意向を表明した。

 

最低限のCM挿入数が売りのフールーの運営方針に逆行する動きで、人気動画配信サイトが抱えるジレンマを浮き彫りにするものともいえそうだ。ニューズ・コーポレーション側は、挿入するCMの選択権も主張しており、これまでサイト全体のCM管理を一手に担ってきたフールー経営陣との間で新たな火種となる可能性もある。は2007年開設以来、ネットワーク・テレビがプライムタイムで放送する人気番組を無料配信したことから若者層を中心に爆発的な人気を博した。CM挿入も放送版では1時間番組で12~14分といったところをフールー上では一回の挿入時間が30秒以内、しかも放送回数が数回に留まっていることから、CM嫌いといわれる若者層から「フールーで番組を見るとCMがまったく気にならない」などと同サイト人気の要因の一つとなっていた。 しかし、このような基本経営方針を主張するフールー経営陣と広告支援型無料配信に限界を感じる親会社との間では常にギクシャクとした関係が続いており、2010年6月にはオーナー会社の圧力に屈するかたちで有料サービス「フールー・プラス」が導入されたいきさつもある。 4大ネットワークテレビを傘下に置くメディア企業の中で唯一フールーへの出資を拒んできたCBSコーポレーションの最高経営責任者(CEO)レスリー・ムンベス氏はニューズ・コーポレーションの動きに関して、「フールーに参画しなかったことは正しい判断だった。他社も撤退の時期をうかがっているのではないか」と述べ、同サイトの経営が行き詰っているとの考えを示唆している。 <テレビ朝日アメリカ 北清>