人気動画配信サイトが身売りを検討

テレビ番組などのインターネット動画配信で人気のHulu(フールー)が身売りの可能性を検討している模様だ。フールーは、米巨大メディア企業ニューズ・コーポレーション、NBCユニバーサル、ウォルト・ディズニーなどが共同出資者として加わり、3年半前に開設されたサイト。ネットワークテレビがプライムタイムで放送する人気番組が、放送翌日には全編無料で視聴できるとあって、若者を中心にあっという間に人気を博した。月間2700万件のユニーク・ビューアー数があるという。 

しかし、無料配信サービスは出来るだけ制限したいと運営方針の変更を迫るオーナー会社と、基本的にはテレビCM型の広告収入で運営し、多くの番組を無料で提供したいとするフールー経営陣との間に不調和音が生じていた。米メディア業界全体に、番組などのコンテンツの無料配信を見直す機運が高まっているが、フールーも20106月にオーナー会社の圧力に屈するかたちで、一部有料サービス「フールー・プラス」を立ち上げている。


「オーナー会社が複数、しかも大手メディア企業で占められているため、明確な経営方針を打ち出す際の障害になっている」「オーナー会社はもはやフールー運営にメリットを感じなくなっている」などと、フールー売却を支持する声がある一方で、「番組供給事業者であるオーナー会社が撤退すれば、フールーはコンテンツの確保に多額な資金が必要となり、苦しい経営を強いられることになる」ことを指摘、売却後のフールーの存続を危ぶむ声も上がっている。


今回の身売り話は、ロサンゼルス・タイムズ紙が、インターネットの代表的なポータルサイト「ヤフー」が買収に興味を示していると報道したことからフールーの将来に関する様々な憶測を呼んでいる。フールー・サイドは、米投資銀行グッゲンハイム・パートナーズとモーガン・スタンレーを雇い、同社買収に興味あるメディア企業や通信会社などを模索し始めたことが報道されているが、売却先にグーグルの名前も挙がっている。


フールーの最高経営責任者(CEO)ジェイソン・カイラー氏によれば、今年の売上高は5億㌦。米調査会社「SNLケーガン」などによれば、フールーの売却額は20億㌦程度と予測している。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>