CATV局アップフロント売上が15%増

9月から始まる米テレビ界新シーズンのプライムタイム番組編成の発表とCMの予約販売が行われる「アップフロント」、地上波ネットワークテレビと広告主との交渉が6月上旬に終了した(624日号既報)。売上高が昨年度比810%増となる9192億㌦に達し好調さをアピールしたが、続いて行われたケーブル局のアップフロント交渉も好調に推移、売上高は新記録を樹立した。

合計売上高が昨年度比15%増となる9193億㌦と、地上波ネットワークを初めて上回ったとする見方が多く、ケーブル局業界は活況に沸いている。


地上波ネットワークが5社(ABCCBSFoxNBCCW)なのに対し、ケーブル局は約80社 が対象、「両者の合計売上高を単純比較するのはフェアではない(ロサンゼルス・タイムズ紙)」ものの、「ケーブル局の人気を示す象徴的な出来事になったこ とは間違いない(同紙)」などとする受け止め方が支配的だ。「ケーブル局史上の分岐点といっても過言ではない」(ハリウッドの業界誌The Wrap)との見方さえ出ている。

 

ケーブル局のアップフロント市場が好調だった背景には、①地上波ネットワークが昨年度比二桁台のCM料金値上げを要求したため、単価が安価なケーブル局に広告費を振り向けた広告主が少なくなかった②到達視聴者数で絶対的な力をもっている地上波ネットワークよりも、ニッチな層に到達するケーブル局を選ぶ広告主が少なくなかった③Jersey Shore(邦題:マカロニ野郎のニュージャージー・ライフ)(MTV)など、ケーブル局のリアリティー番組にヒット作が多く、特定の若者層を狙った広告主がケーブル局を選んだ、などの要因が挙げられている。

 

ケーブル局といえば、ネットワークテレビ番組の再放送が編成の要だったが、近年、特定の視聴者を対象にしたオリジナル番組を投入する社が増えている。広告主が重要視する1849歳層の視聴率も上昇カーブを描いており、広告主にとって魅力ある媒体となっている。潤滑な広告費が流れこめばオリジナル番組の制作がますます活発になることが予想され、米ケーブル局の活況ぶりがしばらく続くことになりそうだ。 <テレビ朝日アメリカ 北清>