ソープ・オペラ番組がネット放送へ

米ネットワークテレビが今シーズン限りで打ち切りを決めたソープ・オペラ番組(昼ドラ)がブロードバンドに舞台を移すことになった。対象となったのはABCネットワークで40年以上も放送を続けてきた超長寿番組「One Life to Live」(以下、ワン・ライフ)(週日米東部時間午後2時から放送)と「All My Children」(以下、マイ・チルドレン)(同午後1時)2番組。ABCが今春、視聴率の低迷を理由に両番組を今シーズン限りで打ち切ることを発表すると、熱心なファンからは抗議の電話やメール連絡が多数寄せらたという。 

 

 

ちなみに、ワン・ライフの平均視聴者数は06年には320万人だったものが現在では260万人に、マイ・チルドレンは05年の320万人が240万人にまで低下していた。ABCでは視聴率ばかりでなく高騰する制作費も番組打ち切りの理由に挙げている。


40年以上も続いた番組に第2の人生を、とネット配信を手がけることになった米制作会社「Prospect Park(プロスペクト・パーク)」によれば、番組の内容やフォーマットなどすべて放送版が踏襲される。番組は1エピソード1時間の連続ドラマ。目下、出演者との交渉などが行われているが、順調に行けばワン・ライフ(121月)とマイ・チルドレン(119月)の最終回放送後に制作を開始したいとしている。


番組は有料加入制が検討されているが、ファンの中にはブロードバンドに加入していない人がいるほか、「いままで無料で視聴できていたのに課金されるのはおかしい」などと一部反発の声も出ている模様。プロスペクト・パーク社は、放送型のCMを挿入する広告支援型や番組内に商品を登場させる「プロダクト・プレースメント」の導入なども視野に入れているという。


米国ではオンライン向け専門の番組配信が少しずつ始まっているが、米テレビ界を代表する番組がネットに舞台を移すのは初めてのこと。高額制作費を回収することが出来るのか、「ギャンブルかもしれない」(米ウォールストリート・ジャーナル紙)などと懐疑的な意見も出ている。しかし、米DVDレンタル大手Netflix(ネットフリックス)がストリーミング配信人気を背景に、人気俳優ケビン・スペイシーを主役にしたオリジナル番組の制作と配信計画を発表しているほか、ヤフーやAOLなどが自主制作番組のブロードバンド配信に着手する意向を明らかにしていて、ネット向け専門の番組制作が本格化する兆しもある。 <テレビ朝日アメリカ 北清>