高齢化が進むネットワークテレビ視聴者

米地上波ネットワークテレビ視聴者の高齢化が止まらない。ニューヨークに本拠地を置く米広告会社「ホライゾン・メディア」がこのほど発表した調査結果によると、5月末に終了した2010-11年シーズンにおける5大ネットワーク(ABCCBSNBCFoxCW)の視聴者年齢の中央値は前シーズン比0.8%増となる51.6歳だった。

 

ネットワーク別で見ると、CBSが前シーズンの54.3歳から1.4歳上昇となる55.7歳と最高齢のネットワークとなった。同ネットワークの視聴者はもともと熟年層が多く、業界では“シルバーネットワーク”などと呼ばれている所以だ。次に年齢が高かったのがABC52.1歳。唯一年齢が下がったのがNBCで、同社視聴者の中央値は50歳だった。(前年度は50.2歳)。また、Foxは前シーズンから0.2歳上がって46歳。若者向けミニ・ネットワークCWも同2歳ほどあがって35.4歳だった。


ホライゾン社の調査部門の責任者ブラッド・アドゲイト氏は、メディア・サイト「メディア・ライフ」とのインタビューで視聴者年齢が上がった理由について、「若者の間で、テレビ放送以外のプラットフォームで番組を視聴する傾向がますます高まっている。視聴者の高齢化は今後も進んでいくだろう」と語っている。アドゲイト氏は、若者に人気の、ケーブル会社などが提供するオンデマンド・サービスの普及も理由の一つとして挙げている。


また、アドゲイト氏は、ケーブル局の視聴者数が上昇カーブを描いている一方、地上波局の視聴者数が今後も下降現象を辿っていくことを予想。しかし、各ネットワークにとってケーブル局が姉妹会社にある関係を指摘、「ネットワークを壊滅的な立場に追い込むことはないだろう」との考えを示した。5大ネットワークの親会社は、CBSコーポレーションを除きすべて人気ケーブル局を所有しているのが現状だ。


ところで、9月から始まるネットワークテレビ新シーズンの編成傾向を見ると、各社、コメディー番組に加え、熟年向けの番組に力を入れているのが目立つ。NBC60年代の米社会を舞台にした『ザ・プレイボーイ・クラブ』60歳台の熟練女性弁護士を主人公にした法廷ドラマ『Harry’s Lawを投入するが、視聴者の高齢化に即した判断とも言えそうだ。 <テレビ朝日アメリカ 北清>