2011年における世界の総広告費が、景気後退前の2008年に記録した過去最高水準に達するという見通しが出た。世界屈指の広告会社「ピュブリシス・グループ」傘下の代理店ゼニス・オプティ メディアがこのほど発表した、2010年から13年にかけた3年間の広告費の推移の中で示したもので、11年の広告費は前年比4.1%増となる4710億㌦(約37兆6800億円)に達し、08年レベルに戻る見通しだ。
また10年の広告費を振り返ると、米国の支出額が1516億6500万㌦(約12兆1332億円)と断トツ。日本は2位で461億5300万㌦(約3兆6922億円)だったと推定している。これに中国261億2200万㌦(約2兆900億円)、ドイツ237億9100万㌦(約1兆9033億円)、英国180億8600万㌦(1兆4469億円)などと続いている。
そして、10年は世界で起きた様々な災害や政局不安が原因で増加率が低目に留まったが、今後3年間の広告費は、特に新興国の広告費の増加幅が顕著となり、大幅に拡大すると予想している。中国、ロシア、ブラジル、インドネシア、さらにはインドなどによる増加額は全体の62%を占める模様だ。
媒体別で見ると、インターネット広告の躍進ぶりが顕著で、2010年から13年にかけての成長率は全媒体中最大の14.2%に達する見込みだ。ネット広告の中でもディスプレー広告が同16.4%増と急増する。ゼニスでは動画広告の挿入と配信が手軽に出来る手段が普及してきたことから地域向け代理店が積極的に採用していく傾向が高まると見ている。また、相変わらずテレビ広告が元気で、同社では向こう3年間に新たに投入される広告費の49%を占めると推計している。
2013年における世界の推定広告費を媒体別で見ると、テレビが2149億6800万㌦(約17兆1974億円)でトップ。これに、インターネット949億6700万㌦(約7兆5974億円)、新聞928億9200万㌦(約7兆4324億円)、雑誌429億9200万㌦(約3兆4394億円)、屋外広告356億8900万㌦(約2兆8551億円)、ラジオ356億400万㌦(2兆8483億円)、映画27億4600万㌦(約2197億円)などとなっている。
<テレビ朝日アメリカ 北清>