フールーが日本進出へ

米テレビ番組や映画などをインターネット上に高画質で提供している動画配信サービスHulu(フールー)が日本進出を決めた。フールーの国際市場担当ヨハネス・ラーチャー上級副社長が同社のブログで明らかにした。すでに東京に事務所を開設済み、日本人スタッフらが準備を進めている。

ラーチャー氏は、日本進出について、「フールー開設当初から広く世界の視聴者に サービスを提供したいとの強い願望を抱いていた。日本にはいまだに高品質な映画やテレビ番組のネット配信が普及していないこととに着目した」と説明すると ともに、「日本はブロードバンド(高速大容量)通信が完備されているほか、スマートフォンなどが普及している」などと、フールー展開に必要な条件が整って いることを挙げている。


日本でのサービスはすべて有料型になる模様だが、料金体系、配信内容などすべて未定としている。


フールーは、米巨大メディア企業ニューズ・コーポレーションとNBCユニバーサルなどが共同出資者として加わり3年半前に開設されたサイト(途中からウォルト・ディズニーも共同出資者として加わっている)。  ネットワークテレビのプライムタイム番組などをすべて無料で翌日配信したことから、ケーブルテレビ(CATV)や衛星放送の再送信サービスに加入していない大学生や若者を中心に人気が急増。いまでは月間2700万件のユニーク・ビューアー数があるという。


しかし、広告支援型には収入に限界があること。またメディア企業の間で番組の無料配信を見直す機運が高まっていて、無料配信継続を主張していたフールー経営陣との間にあつれきが生じていた。フールーはこうしたオーナー会社の圧力に屈するかたちで昨年6月に有料サービス「フールー・プラス」を立ち上げている。


そんなフールーに今夏、身売り話が浮上した。「DVDレンタル及びストリーミング配信大手ネットフリックス(Netflix)などに番組を売ったほうが、フールーに提供するより儲かる」などとオーナー会社がフールーに見切りをつけた、などと取り沙汰される中、ヤフー、グーグル、アップル社などIT企業がフールーの買収に興味を示しているという。 8月中に売却先が決まるというウワサもあるが、新オーナーの判断で日本サイト開設の方針や内容などが変更される可能性もありそうだ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>