米CNNテレビの上級副社長兼元ワシントン支局長のデービッド・ボーマン氏が8月8日、ニュース情報専門局「Current TV(カレントTV)」の社長に就任した。カレントTVは2005年、元米副大統領アル・ゴア氏が弁護士・実業家ジョエル・ハイアット氏と共同で設立したケーブル局。視聴可能世帯数が6000万軒と中規模のケーブル局で、開設当初は視聴者の投稿画像や番組などを中心に放送していたが、最近は政治報道や解説番組さらにはドキュメンタリーなどを編成の要にすえる方針転換に出ている。
番組の中には米テレビ界の栄誉であるピーボディー賞やエミー賞を受賞したものもあるが一日当たりの平均視聴者数51000人(ウォールストリート・ジャーナル紙)と伸び悩んでいることもあって、去る6月、ニュース専門局大手MSNBCの トーク番組の大物キャスターだったキース・オルバーマン氏を雇ったばかり。ボーマン氏は、オルバーマン氏の番組『カウントダウン・ウィズ・キース・オル バーマン』(写真・左)を同社のゆるぎない看板番組に仕立て上げることも含め、局イメージの改善と視聴率の上昇を勝ち取る重要な役割を担うことになる。
ゴア氏はバーマン氏の起用に当たりステートメントを出し、「カレントTVのミッションは、世の中の重要な出来事にスポットライトを当て、議論を促し、物事の本質を明らかにすること。ボーマン氏のユニークな経営手腕と経歴でカレントTVを ステップアップしてくれることを確信している」と述べている。ハイアット氏も、「視聴者は自分たちの関心あるニュースを受け止めるばかりでなく、関ってい くことで世の中に変化をもたらすことを期待している。ボーマン氏はマルチ・フォーマットを駆使して重要なニュースを伝えることに長けている熟練経営者だ」 と、期待を寄せている。
ボーマン氏は、CNNで上級副社長兼ワシントン支局長を十数年にわたり務め、同社の大統領特番、ワシントン支局発の番組『The Situation Room with Wolf Blitzer』『John King USA 』などの監修にも当たってきた。去る5月、CNNワールドワイドのイノーベーション(技術革新)担当最高責任者に抜擢されたばかり。ボーマン氏はカレントTV社長就任に当たり、「メディア界には、視聴者によるテレビの視聴方法も含め大きな変化が訪れている。我々は視聴者が何を求めているのか、何を必要としているのかなど時代の変化に常に対応し、自己改革していかなければならない」などと豊富を述べている。
<テレビ朝日アメリカ 北清>