NY市の素早いハリケーン対策 市長の気迫感じた

NASA
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ハリケーン「アイリーン」が米国の東海上を北上し、27日にノースカロライナに上陸する見込みです。ニューヨーク市を直撃する可能性もあり、市は一部住民に避難を命令し、地下鉄の全面運休を決めました。

 

NASA Goddard MODIS Rapid Response
NASA Goddard MODIS Rapid Response

ハリケーンがニューヨーク市を直撃すれば、190年ぶりのことです。ニューヨーク市には28日の午前から昼にかけて接近、あるいは通過する見通しですが、ブルームバーグ市長は25日から、何度も記者会見し市民に厳重な警戒を呼びかけいます。市では洪水が起きやすい地域を「ゾーンA」「ゾーンB」「ゾーンC」の3段階に分類し、最も被害が深刻になるとみられる「A」の住民を中心に避難を命令しました。27日午後5時までに安全な場所に移動しなければなりません。また、27日正午から地下鉄を全面的に運休にします。

 いずれもニューヨーク市として初めてのことです。

 風雨が強まる前から踏み込んだ対策を講じることとなりますが、これは最悪のケースを想定してのことです。発表するブルームバーグ市長らの顔は真剣そのもので、それだけを見ていると、これからどんなことが起きるのか、恐ろしくなってくるぐらいです。

 26日のニューヨーク市は晴れでした。ブルームバーグ市長の言葉にピンと来ない市民も多いようですが、市当局としては、どんなことをしても市民に訴えかけるしかありません。

 日本では市民がパニックにならないよう、行政がことさらに冷静を装うことがあります。今回のニューヨーク市の対応は、これと正反対です。

 市民の生命と財産を守るのが行政の役目です。そのために市民は税金を払っています。市民がどういう態度をとろうが、行政は市民の安全のために動くというのも当然のことですが、ニューヨーク市の動きを見て、行政と政治の気迫のようなものを少し感じました。

 ブルームバーグ市長は、この冬の大雪の際の対応遅れを批判された経験があります。2度と失敗できないという気持ちが今回の早めの対策につながっているようです。

 

<NY支局 名村晃一>