米インターネット検索大手グーグルは昨秋、インターネット上の動画をテレビに取り込んで視聴できるソフトウェア「グーグル・テレビ」を開発した。ソニーやセット・トップ・ボックス(STB)メーカー、ロジテックがグーグル・テレビを取り込んだ製品を次々に発売したが、操作方法が難解なことや価格が高いことから消費者に背を向けられているようだ。米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、グーグル・テレビを内蔵したロジテック社の製品は返品数が販売数を上回るほどの不評ぶりを示しているという。
ロジテック社では急遽、当初299㌦(約2万4000円)で発売した同社のSTB価格を249㌦に値下げしたが、さらに99㌦にまで下げ、販売活性化につなげたい考えだ。ただ、同社のグリーノ・デ・ルーカ会長はWSJ紙に、「グーグル・テレビは当初約束していた機能を発揮していない」と不満をもらしており、価格を下げただけで消費者の信頼を獲得できるかどうか自信がないことを示唆している。
テレビ・メーカーの中でグーグル・テレビ導入の先陣を切ったソニーは、「ソニー・インターネットテレビ」の商品名で昨秋来同テレビの販売を開始しているが、こちらも売上は芳しくない模様だ。
グーグルの広報担当者は、「スマートテレビはまだ開発されたばかり。グーグルはパートナーと消費者に技術革新を提供すべく同サービスへの投資を継続している」と弁明、グーグル・テレビの改良版を年末までに発売する予定であることを明らかにした。
ところで、グーグル・テレビの不振がスマート・テレビ全体の普及の障害になるわけではなさそうだ。米調査会社ディスプレー・サーチによれば、今年米国で出荷される薄型テレビの25%がインターネット接続機能内蔵型になる見通しで、15年までには全体の出荷台数1億3800万台の47%がスマート・テレビ型になるという。
テレビをパソコン代わりに、インターネット上の情報を検索したり、テレビ番組や投稿ビデオ、さらには映画などのコンテンツをテレビ上にダウンロードして視聴ができるインターネット・テレビは米国ではスマート・テレビ、あるいはコネクテッド・テレビ(Connected TV)などとも呼ばれている。
<テレビ朝日アメリカ 北清>