スポーツの秋。気持ちよく観戦するために。

ニューヨークや米国北東部では、9月第一週月曜日の祝日、レーバーデー(労働者の日)ごろから爽やかさがグンと増し,

涼しい風が頬を伝い始める。それはアメリカンフットボールのシーズン到来を告げ、同時に大リーグのシーズンが佳境に差し掛かったことを意味する。

 

「打低投高」の傾向がここ何シーズンか続く大リーグは、計算できる大型投手を中4日の先発ローテーションに何人据えられるかが優勝への近道と言われている。ナショナル・リーグ東地区では、サイ・ヤング賞最有力候補のハラデイ、今年成長著しい左腕ハメルズ、豪腕リーなどを揃えるフィラデルフィア・フィリーズが(98日現在)大リーグ最高勝率.655を叩き出し、2008年以来の優勝に向かって突き進んでいる。


また、アメリカン・リーグ東地区では、ニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスの歴史的なライバル対戦が熱を帯びる。熱狂的ファンは互いに悪口を言い合いながら毎日の試合に目を凝らす。


日本のファンの方々にも人気でなじみ深いこの
2チームが、ア・リーグ優勝決定戦で激突する可能性は十二分にある。フェンウェイ・パークやヤンキー・スタジアムで生でその試合を観戦できる幸運な方たちは、その緊張と熱狂が作り出す重厚な空気に驚き、より興奮するだろう。もしからしたら、自分の応援するチームグッツに身を包み、緊張しながら敵地に乗り込むことになるかも知れない。そこで味わう勝利の味といったらもう説明のしようがないほど嬉しい。私も何度と無く味わったが、今年は忌まわしい事件が頭をかすめ、素直に楽しめなくなった。


今年の
4月、サンフランシスコ・ジャイアンツのファン、ブライアン・ストーさんが敵地ロスアンゼルスでドジャースとの試合を観戦後、外で試合後、ドジャースのファンに暴行され、意識不明の重体になった。3ヵ月後以上経った7月21日、容疑者2人がロサンゼルスでようやく逮捕された中。ストーさんの様態は回復に向かい、体の一部を動かせることが出来たものの、依然として言葉を発することは出来ない。


8月下旬にはアメフトのプレ・シーズンの試合後、駐車場でファン同士が小競り合いとなり、ビジター側のファンが腹を拳銃で撃たれ、重体になった(容疑者は依然逃走中)。では、このような事件に巻き込まれないため、特にビジター(アウェー)側として観戦する場合、どうすればいいのか。次のことを頭に入れていただきたい。

1.  相手チームを揶揄するような言葉の書いたTシャツなどの服の着用を避ける。

(Yankees Suck (ヤンキースはクソだ)」や「Red Sux (Red Soxとクソや下手くそを意味するSucksをかけている)」などは可愛い方で、もっと過激な表現が書かれたTシャツもインターネットなどで星の数ほど売られているが、それらを着て観戦することは自分から「ケンカ買います」と言っている様なものです。)

 

2.  相手ファンに挑発されても応戦しない。
(よそ様のお宅で応援させていただいております、お邪魔します」ぐらいのスタンスで構えていたほうが相手もそこまでしつこくしない。)

3.  出来るだけいい席に座る。
(ドノ球場でも、安い席だと観戦目的ではなく、酔っ払って騒ぐという目的の人が見受けられる。)

 

4.  何かされたら、球場にいる警備員の人だけではなく、周りのファンに助けを求める。

 

5.  試合後はなるべく早くスタジアムを出る。


実は私もよくビジター(アウェー)側の応援をしに、シティ・フィールド(ニューヨーク・メッツの本拠地)やレッドブル・アリーナ(MLS=メジャーリーグサッカー、ニューヨーク・レッドブルズの本拠地)に足を運ぶ。よく相手ファン・サポーターからヤジや挑発を受け、もちろんムッとする事も多々あるが、それも醍醐味の一部、と割り切りながら「はい、はい」とかわしていると、最後にはよく相手ファンから笑顔で握手を求められたり、健闘を称えられたりする。


相手に敬意を払って、常識を持って行動する-当たり前の話になってしまうが、スポーツを大いに楽しむならこれしかない。