米広告費、上半期は3.2%増

米国の16月期における広告費が前年同期比3.2%増となる715億㌦(約55000億円)に達した。米調査会社キャンター・メディアがこのほど明らかにしたもので、好調だったインターネット広告が全体を押し上げている。ただし、46月期は前年同期比2.7%増に留まり、今年後半にかけて広告支出が停滞する可能性もありそうだ。キャンター・メディアの上級副社長、ジョン・スウォーレン氏は発表文の中で、「米広告市場は鮮烈な回復ぶりを示してきたが、いつまでも持続するはずがないとの声が上がっており、今回のデータはそれを裏付けるものになる可能性がある」と述べている。

通信会社や自動車メーカーなど大広告主の間でも、広告支出を減らしたところが目立っている。通信大手AT&Tの上半期広告費は前年同期比2.6%減となる113000万㌦(約870億円)となったほか、ベライゾン・コミュニケーションズにいたっては同22.5%8870万㌦(約623億円)と大幅に後退している。また、好調な米広告市場の原動力的存在となっている自動車メーカーも、クライスラー・グループが58.7%62110万㌦(約478億円)だったものの、GM(ゼネラル・モーターズ)は13.3%92460万㌦(712億円)と大幅に減らしている。


媒体別で見ると、最も元気だったのがインターネット広告。前年同期比10.4%1196820万㌦(約9216億円)を記録した。一方、新聞は同0.3%806090万㌦(約6207億円)と減少傾向に歯止めがかかる兆しが見えない。テレビも1.8%3282180万㌦(約25273億円)と微増に終った。好調だったケーブル局とは裏腹に同7.6%減となったネットワークテレビの不振ぶりが目立った。


ただ、テレビについては来年(12)は大統領選を含む本選挙を控えていることで明るい見通しがたっている。キャンター・メディアによれば、選挙広告は景気にまった左右されることがなく、来年、ローカルテレビ局に払われる選挙CMの総額は少なくとも25億㌦(約1925億円)から33億㌦(2541億円)に達することも可能で、史上最高額となった10年の選挙時の24億㌦を大きく上回ることは確実な情勢だという。

<テレビ朝日アメリカ 北清>