米国民の半数以上がネットで番組視聴

米国で、インターネット上でのテレビ番組視聴が大きな転換点を迎えている。世界最大の広告会社グループとされるオムニコム・グループ傘下の広告代理店「OMD」がこのほどまとめた報告書によると、米総人口の半数以上、そしてインターネット利用者の8割がネット上でテレビ番組を日常的に視聴していることが判明した。そのため、テレビ番組の27%相当が放送時以外にネット上で視聴されるまでに至っているという。

同調査では、ネット上の番組視聴増大の背景について、視聴者の間で「番組放送時間に縛られたくない」「放送時の番組にはCMや番組宣伝の回数が多すぎる」と考える人が多いことが浮き彫りになったと報告している。


また、米国ではテレビ視聴者の9割が「ペイ・テレビ」サービスと呼ばれているケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者などが提供する再送信サービスに加入してテレビ番組を見ているが、調査に応じた人の24%が、「(番組はネットで見られるので)すでにペイ・テレビを解約した」あるいは、「解約するつもりだ」と答えており、ペイ・テレビ事業者が危機感を増している。


ただ、OMDでは、「少なくとも近い将来において、ネット上のテレビ番組視聴が放送のリアルタイム視聴にとってかわるものに拡大することはない」との見方を示している。「普段はテレビを見たい」(全体の37%)、「(ネット上の番組を取り込むパソコンや端末は)友達などと一緒に見るには不便」(同22%)、「画質が悪い」(同20%)、「画面が小さすぎる」(20%)などと答えた“テレビ派”がまだまだ少なくないからだ。


一方、ストリーミング技術などがさらに進み、動画画像がテレビ画面並みに改善されれば、ネット視聴がさらに普及するのは必至だ。米調査会社インスタットによれば、2015年までに米消費者の65%が動画視聴の可能なスマートフォン(多機能携帯端末)やタブレット型情報端末を保有する見込みで、特に大画面・高画質が楽しめるタブレット型の普及に拍車がかかると見ている。


ちなみにOMDの調査では、インターネット上の番組視聴で最も人気のある番組カテゴリーとして、「天気予報」「ニュース」「ドラマ・コメディー(全編)」「芸能ニュース」「ミュージック・ビデオ」が挙がっており、「(新たな視聴者の発掘を探求する)広告主は番組スポンサーの際に参考にすべきだ」と提言している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>