情報源はテーマで使い分け

米国では「ニュースや情報はテレビから」というのが社会通念になっている。しかし、そんな常識を覆すような調査結果がこのほど発表された。米有力調査会社ピュー・リサーチ・センターによれば、テレビを情報源として利用する人が圧倒的に多いのは不変だが、テレビに求める情報は、速報ニュース、天気と交通情報に集中していることが明らかになった。一方、地方自治体や犯罪など他のニュースは、ローカル紙やインターネットから入手する人が多いことが分かった。また、テキスト・メッセージやツイッターを含む口コミ情報が市民にとって貴重な情報源になっていることも浮き彫りになっている。

 

購読数の急減などで影響力の低下を懸念していたローカル新聞業界にとって勇気付けられる調査結果のように見えるが、「ローカル紙が廃刊に追い詰められる状況にあることを心配しているか」との問いには、全体の69%が「(廃刊されても)ニュースや情報を入手する際にほとんど障害にならない」、若者層になると、「(ローカル紙廃刊の可能性について)気にならない」と答えており、新聞業界は複雑な心境に陥っている。


一方、ニュース・情報源は40歳台を境に熟年層と若者層で違いがあることも分かった。ニュース速報では両層ともテレビを頼りにしているが、天気情報については40歳以下の若者層は、テレビからが44%、インターネットからが41%となっているのに対し、40歳以上は、テレビからが67%、インターネットからが26%となっている。また、政治情報については、若者層は、インターネットからが26%、テレビ19%、新聞16%。熟年層は、新聞34%、テレビ34%、インターネット12%となっている。

 

さらにコミュニティー情報については、若者ではインターネットからが19%、口コミ17%。熟年層では新聞からが32%となっており、若者視聴者の確保が課題のローカルテレビ局にとって情報を提供する際の参考になりそうだ。


ところで、報道機関に対する信頼度があまり高くないことも明らかになった。調査に応じた市民の80%が、「報道機関はしばしば権力を持つ人や組織に影響される」と答えたほか、77%が、「報道機関の情報は一方に偏る傾向がある」、72%が、「記者やレポーターは間違った報道をごまかす傾向がある」などと受け止めている。その一方で、政府や議会に比べればメディアのほうが信頼できると答えた人も多く、政府に対する信頼感の失墜ぶりが顕著だ。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>